「どういうことだ?
何を考えている?マサ。」
1人の男がいかにも偉い人が座るようなイスに座って、
横の壁にもたれている男に言った。
「なにがですか?」
「なぜ我々、辰星が動くという情報を流すのだ?
これだけ噂が流れているのだ。
当然、真選組の耳にも届いているだろう。
そうしたら、我々がやりにくくなるだけだと思うが。」
「ああ、その件ですか。
ご安心ください。
きちんとした考えがあっての行動ですから。」
「まあ、お前のことだからそうなのだろうな。
期待しているぞ。」
「お任せください。
では、失礼します。」
そういってイタアキマサは部屋を出て行った。
「頭はいいが、食えぬ男だ・・・」
部屋に1人残った男は静かにつぶやいた。
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「いよいよ明後日だな。
なんか、しんどそうだけど・・・大丈夫?」
泰輝が、隣で寝転んでいるに言った。
『あー、最近調べものばっかしてたから疲れてんの。
イタアキマサについて。』
"イタアキマサ"という言葉で泰輝の表情が一瞬変わったのを、は見逃さなかった。
「そっか。お疲れ。
でもちゃんと休まないと体もたないよ?」
『大丈夫!もうすぐ全てが終わるから。』
「全て?」
『そう、全て。
ハッピーエンドで終わるといいね。』
が笑顔で泰輝に言って、彼も「そうだね。」と、笑った。
泰輝が部屋を出て行った後、は部屋で1人難しそうな顔をして考えていた。
『絶対に・・・
絶対にこの大きな事件、終わらせてみせる。
しかもハッピーエンドで・・・
そのために私は・・・
その作戦、乗ってあげる。
来いよ、イタアキマサ。
いつでも捕まえてやる。』
は、まるで自分に言い聞かせるようにつぶやいた。
「いよいよ、明日・・・」
イタアキマサ、と呼ばれる男が誰もいない部屋で静かにつぶやいた。
「頼む、どうか・・・
どうか・・・
侑歌・・・」