「クソマヨラーで、誰もが生きることを望んでいないくせに

 図太く生きている土方さん。」



副長室の部屋に2人の人間が入ってきた。





に総悟か・・・

 なんか変なことが聞こえた気がするが・・・気のせいか?何か用か?」





『いや、別に・・・』

「誰も副長ののどをかっ切って、息の根を止めようなんざ思ってないでさァ。」



2人は苦笑いをして、手に持っていた包丁を慌てて後ろに隠す。








「じゃあ今、後ろに隠したものは何に使う予定だったんだ?」

土方は2人をにらむように見た。





「刺身を副長に食べさせようと思ったんでさァ。」

『やっぱり刺身はすぐ食べてもらいたいんで、

 その場でさばこうと思って包丁を持ってきたんスよ。』


「ほぅ〜。

 で、俺のためになにをさばいてくれるんだ?」





『ネタはいつも現地調達☆

 ここにいるナマモノっていえばただ1つ!

 ってことで・・・』



『「土方さん、ゴチになります!」』

「俺を食うってことかァァア!」





『「お腹も満たされ、土方も死んで一石二鳥v」』

「お前らサラッと怖いこといってるよ、気づいてっか?」








『そんなことより、土方さん。』


「そんなことぉぉお!?

 俺の生命に関わることがそんなこと扱いか「真選組が辰星の情報をつかんだことが向こうにバレたって本当ですか?」

 ・・・お、お前なァ・・・

 まぁいい。本当だ。


 だから27日に真選組に乗り込んでくるのは中止になったらしい。」





「でしょうねィ。

 山崎が掴めるくらい情報が漏れてたんなら、辰星も気づくでしょうねィ。」



『そりゃそーだ。

 山崎もキャラ的にそんなに出来るヤツじゃないっスもんね。』





「ところがだ。

 また、それに関した新情報を山崎が掴んできたんだ。」





『マジっスか・・・キャラ的ありえねぇ。で、新しい情報ってのは?』



「真選組に乗り込んでくる日を1日延ばして28日にしたらしいんだ。

 28日ってのは将軍さまがお出かけなさる日だ。

 屯所にいる隊士の数はいつもより少ない。」








「真選組を壊滅させたいなら、どうせ全員倒さなきゃいけないんだから

 隊士が少ないときに攻め込んでも意味ないんじゃないですかィ?」


総悟が不思議そうな顔をする。





『真選組全員をいきなり相手にしたら人数的にも勝てないけど、

 少ないときに不意打ちで攻め込んで、残りをまた不意打ちで攻める。


 1度では倒せなくても2度に分けたら倒せるって思ってるんじゃないの?』



「へー。

 でも、屯所を乗っ取ってどうするつもりなんですかねィ。

 なんか攘夷浪士に得になるのかィ?」








『真選組乗っ取られたらいろんな情報を操作できるんだよ。


 将軍さま、天人に関してなんか、いろんな情報が屯所内にはあるからね。

 それを操作して江戸までも操ろうとしてんじゃねぇの?


 総悟は書類整理なんかしないから知らないだろうけどね。』



「そういうも書類整理なんてやんないじゃねぇかィ。」

「あ、そういわれればそうだ!」





『「アハハハハ。」』










「アハハハハ・・・じゃねぇよ!書類整理くらいしっかりやれ!

 それより、お前ら用は済んだのか?じゃあさっさと帰れ。」





「まだ用は終わってないですぜィ。」


「?なんだ?まだ何か用か?」





『土方さん、お腹すいたんです。ってことで・・・』





『「ゴチになります!」』


「まだ俺を食う気かァァア!」





『「いっただっきま〜す♪」』



「おぃッ・・・ちょっ・・・コラ、おめぇら・・・危なっ・・・

 
 包丁持って笑顔で追いかけてくんなァァア!!」










この1人の命の懸かった追いかけっこは

日が暮れるまで続いたとか・・・いないとか・・・





『って!私が副長室にたずねていった時点で、日暮れてたけど。』


という誰にかは分からないのツッコミは誰の耳に届くこともなかった。




















『おりる〜!』

がそう叫びながら、前を歩いている人物を呼んでいる。



『おりる〜!

 おーい、おりるってば!

 ・・・シカト?ちゃんスネちゃうよ〜!

 ・・・つか、ええかげんにせぇよ!』



後ろの殺気に気がついた泰輝が、おそるおそる隣のに呼ばれている人物に言った。





「山崎さん、後ろでが呼んでますけど・・・

 そろそろ返事しないと山崎さんの命が危ういですよ?」


「え?俺のことを呼ん『おりる!お前ええ度胸しとんなあ!』



「え、だって俺は"おりる"なんて名前じゃ『お前の名前は"降(おりる)"だろーが!』

「いや、"退(さがる)"ですけど・・・」








『あれ?そうだっけ?

 ごめん、ケアレスミスだ。』



「ケアレスミスって・・・

 知り合ってだいぶ経ちましたけど今まで知らなかったんですね・・・」





『人間、誰にでも間違いはあるものだよ。』

「はあ、そうですね・・・」



「頑張って下さい、山崎さん。

 人間、生きていればそんなこともありますよ。」


「泰輝くんは、まじめな顔で言うからすごいよね。」

「え?」


「いや、なんでもないよ。」








『そんなことより。

 本題いっていい?』



「なんですか?」





いきなり真剣になったの表情にとまどいながらも山崎が返事をした。








『真選組が動くって情報を流してほしいんだよ。』



「えっ?

 わざわざ辰星が動くのを28日に変更したのを知っていることを敵に知らせるのか?」


泰輝が不思議そうに聞いた。





『うん。』



「どういうこと?なんで?」





『まー、そのうち分かるんじゃない?


 ちゃんと土方さんにも許可取ってあるから!

 ってことで退、よろしくv

 じゃッ!』



「あっ、はいよ!・・・って、もういないし。」








「速いですね。」

「そだね。」










2人は静かにが走って消えて行ったほうをながめていた。





そして2人の顔にはの言葉による困惑の色が広がっていた。