『じゃ総悟、ご飯も食べたし見回りにいこっかv』
「そうだな。」
時間はもう朝の9時。
さすがに食堂にはと総悟しかいなかった。
そして、その最後の2人も部屋をでていく。
「今日はどこにいくんでィ?」
『えーっと、そうだなぁ・・・』
2人は《書庫の整理》という仕事を忘れたことにして、屯所をでていった。
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「だいぶ減ったね、泰輝くん。」
書類整理をやりはじめて2時間もたったころ。
書類は最初と比べ3分の1くらいになっていた。
「そうですね・・・
でも、けっこうハードですね、書類整理って。」
「まぁね。」
ザッザッ ザッザッ
「?」
「どうかした?泰輝くん。」
「いえ、なにか足音みたいなのがする気がして・・・」
ザッザッ ザッザッ
「本当だ。
廊下を歩いている音じゃないよね。」
「土の上を何か引きずっている音ですね。」
ザッザッ ザッザッ
「だんだん近づいてきませんか?」
そういって泰輝は床に耳をつける。
山崎もすこし遅れて彼と同じ行動をした。
ザッザッ ザッザッ
「間違いないですね。
床の下にだれかいますよ。」
「スパイだ・・・
急いで土方さんに報告してくるから泰輝くんはここで待ってて。」
そういって山崎は走ってでて行ってしまった。
「今回は・・・おとなしくしときますか。」
泰輝は自分以外には誰もいない部屋でひとりつぶやいた。
ピピピピピッ ピピピピピッ
『・・・だー、もう起きる時間?
総悟ー、起きてるー?』
「・・・起きたぜィ。
もうレディース4が始まんのか?
まだまだ寝足りないぜ。」
『結局どこにも出かけずに総悟の部屋で昼寝だったもんな、今日。』
ザッザッ ザッザッ
『「!?」』
床下から聞こえる音に2人は思わず目を合わせた。
ザッザッ ザッザッ
『ま、私たちがこれだけすぐ気づいたんだし、土方さんも気づいてるよね。』
「だろうねィ。
俺らは別になにもしなくてもいいと思うぜ。」
『そだね。全く、堂々としてんな。』
コトッ
かすかに天井から音がした。
「天井に猫でもいるみたいだねィ。」
『そーだね・・・何猫かな?』
「俺は黒猫が好きでィ。」
『私は三毛猫が好きかな。
ってか私ら、なんか忘れてない?』
と総悟が再び顔を合わせてしばし考える。
『「・・・レディース4!」』
叫ぶと同時に2人はテレビのほうへ飛んでいった。
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山崎の報告をうけて土方は、今いる隊士に急いで屯所を包囲させた。
「おい、床の下にいるスパイ。
お前は完全に包囲されている。
おとなしく出てこーい。」
土方が拡声器を片手にいった。
すると、ザッザッという音をたてて土方の正面のえんがわの下から
ほふく前進で1人の男が出てきた。
そして、その男にむかって隊士たちがよってたかって刀を向ける。
「確保ー!」
その土方のかけ声で男の後ろにいた隊士2人が、
その男を立たせ、縄でしばった。
『丸腰だったな。』
「そうだねィ。しかもいかにもスパイです、って感じの服装でィ。」
『服、真っ黒だもんね。』
この騒ぎを影から見ていた、
というか正式にはテレビを見ているとうるさくて抗議しようと思って出てきたら、
ちょうど捕まえたところだったのでちょっと見物していたと総悟がいった。
『それより私は猫のほうが気になるかな。』
「俺もだぜィ。何猫だろうねィ。」
『・・・黒だな。』
総悟は、確信を持ったの答えに理由をきこうと思ったが
土方ににらまれているのに気づき、口を閉じた。
も土方の視線に気づいたようだった。
「さぁ〜て、書庫整理の続きを始めるかねィ。」
『そだね、朝からずっと頑張ってて疲れたよね〜。』
あたかも、今まで書庫整理をやっていましたという感じで土方に聞こえるよう、
わざと大きな声でいった。
そして部屋に戻ってレディース4の続きを見始めた。