7月7日。
そう、今日は七夕なのです。
今日は天気が良く天の川が見えそうだというのも手伝って、全国的にテレビでも街角でも盛り上がっていた。
七夕というのは、愛し合う織姫と彦星が年に一度だけ会うのを許された特別な日。
そして、私個人にとっても―――――
「ハッピーバースディ!!」
070 7月7日。
『ありがと、真菜子v』
朝、教室に入るとすぐに真菜子が走り寄ってきて祝福の言葉をかけてくれた。
そうです。私、は本日7月7日をもってめでたく16歳となりました!
もう四捨五入したら20歳だよー。
いやー、私も大人になりましたねv
「はい、プレゼント。」
『やった〜vなんだろ?・・・・・・あっ、可愛い〜v』
真菜子から手渡された可愛いラッピングの包みを開けると、三毛猫のケータイストラップが入っていた。
ラインストーンでできたその三毛猫は、朝の光を反射してきらきら輝いている。
うわ、まじで最強に可愛いv
「なにがいいかなーって探してたら、たまたまそれ見つけてさ。
ほら、今飼ってる三毛猫ちゃんに似てるなーって思って。」
『うんうん。ダイキに超そっくり〜vめっちゃ嬉しい!
真菜子〜、ほんとありがとv』
うきうきしながら、さっそくケータイにもらったストラップを装着。
あー、可愛いv
よし、完璧v
「さん、今日誕生日なの?」
ケータイにぶらさがってゆらゆら揺れているダイキ2号(なかなかいいネーミングセンスでしょ?←)を
にやにや見つめていたら、後ろから声をかけられた。
振り返ってみると、今日も爽やかな笑顔を浮かべた幸村くんが立っていた。
『あ、おはよう、幸村くん。』
「おはよう。」
「うん、おはよう。さん、風宮。」
「幸村くん、今日はの誕生日なのよ。」
『えへへ〜、これ貰っちゃったv』
「へぇ、可愛いね。誕生日おめでとう。俺も知ってたらなにか用意したのに。」
『いや、いいよいいよ。その気持ちだけで嬉しいから。』
「ううん、また今度なにかプレゼントするよ。じゃないと俺の気がすまないから。」
『気にしなくていいのに・・・ありがとう。楽しみにしとくね。
幸村くんは誕生日いつなの?』
「3月5日だよ。」
「幸村くんの誕生日っていったら、毎年女子達が大騒ぎなのよね。
1つの学校行事みたいになってるのよ。」
「そんな大げさだよ。」
『へぇー、なんかわかるかも。』
「たぶんが想像してる10倍は壮絶よ。」
『ま、まじか・・・大変だねー、幸村くん。』
「まぁ、そうだね。」
幸村くんが否定しないところを見ると、それはもう壮絶なんだろうね。
まぁ、好きな人の誕生日ってたしかに乙女たちにとっては頑張りどころだもんね。
学校中の女子達がこぞって幸村くんにプレゼントを渡そうとするところ・・・まさに戦場なんだろうね。
でも、そこをすんなり想像できちゃうところが幸村くんのすごいとこだな、うん。
「毎年、手作りお菓子だったり高価な小物だったり・・・すごいんだよねー。」
『へぇー、そうなんだ。
私も幸村くんの誕生日には用意しようかと思ったけど、そんなにたくさんプレゼントが貰えるなら
私からのプレゼントなんかいらないかな。』
「そんなことないよ。さんからのプレゼントなら喜んで受け取るよ。」
『ほんと?じゃあ何か用意しよーっと。』
「だって、ほら。大事なのは"何を"貰うかじゃなくて"誰から"貰うか、って言うじゃないか。」
そう言って、いつものようににっこり笑う彼。
けっこう殺し文句言ってるんだけど・・・・・・自覚あるのかな?
ま、確かにそんな仲良くない人からプレゼント貰ったって嬉しくないか。
それだけ私と仲良いってことだよね?
『なんかそれ、嬉しいね。』
「楽しみにしてるよ。」
『私も、幸村くんからのプレゼント楽しみにしてるからね!』
幸村くんなら、センス良いものくれそうだし。
期待しとこーっとv
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今日のお昼休みはいつものポケモンパンだけじゃなく、とっても豪華だった。
ゆきネエとれいちゃんがお菓子をくれたり、
ジャッカルがちょっと高いジュース(果肉が入ってて、振って飲むやつ!)を買ってくれたり
ブン太くんがケーキをくれたり(ブン太が人に甘いものをあげてるなんて!と驚かれてた。)
んー、誕生日最高v
また、放課後には自分へのご褒美としてクレープを買ってマンションに帰った。
なんか今日は糖分取りすぎな気がするけど・・・ま、今日は許してください。
そしていまはクレープを食べ終わってソファでのんびりくつろいでいる。
時計をちらっと見ると、針は7時すぎを示していて
あー、晩ご飯どうしよっかな・・・なんて考えてると机の上にあるケータイが震えた。
―――――ん、電話?あ、キヨからだ。
『もしもし、キヨ?』
《あ、ちゃん?今家にいる?》
『うん、いるけど・・・どうしたの?』
《ちょっと下まで降りて来れる?》
『え、いま来てるの?』
《うん。》
『ちょっと待ってて!すぐ行く!』
電話を切ってすぐにマンションの下まで行くと、キヨが1人で壁にもたれて立っていた。
走り寄ってくる私に気づいて、笑顔で軽く手を上げる。
「やあ、ちゃん。誕生日おめでとう。」
『ありがとう。わざわざそれ言いに来てくれたの?』
「まぁね。ちゃんに直接会いたかったし。
制服姿もかーわいいねーv」
『はいはい、どーも。ありがとう。』
そういえば、制服姿で会うの初めてだったかも。
キヨは白い学ランみたいな制服を着てて・・・んー、普通に見たらいかつめなんだろうけど
キヨが着てたらチャラく見えるのはなんでだろうね。
なんて考えていると、キヨが手を差し出してきた。
その手の上には小さな紙袋が乗っている。
「はい、誕生日プレゼント。直接これを渡したくてさ。」
『え、いいの?ありがとう!開けて良い?』
「うん。気に入ってもらえるといいんだけど・・・」
紙袋の中を見ると、可愛くラッピングされた袋が入っていて。
何が入ってるのか気になりながらも、キヨの顔を一瞬見ると照れてはにかんだ顔をしていた。
そんな彼ににっこり微笑んでから、わくわくしながらリボンをほどいて中を見る。
細いピンクゴールドのチェーンが2重になったデザインのブレスレット。
小さな四葉のクローバーがワンポイントになっている。
・・・・・・やばい、めっちゃ可愛いv
『可愛い〜vこれ、ほんとめっちゃ可愛いよ!』
「気に入ってもらえたみたいで良かったよ。」
『うん!超気に入った!めっちゃ私の好みなんだけど!』
「まぁ、だてによく一緒に買い物してないからね。ちゃんの好みはなんとなくわかるよ。」
『やっぱキヨさすが〜vまじでありがと!』
私の好みをわかってくれてるのも嬉しいけど
これをわざわざ買うためにアクセサリーショップに行ってくれたことが嬉しいな。
だってこの袋、駅前の店だよね。あの可愛らしい雰囲気の。
あそこに男の子が入るの、キヨでもさすがに勇気いると思うんだよねー。
「じゃあちゃん、手出して?」
『あ、うん。』
「・・・はい、できたよ。」
キヨに言われるがままに左手を出すと、ブレスレットをつけてくれた。
私の手首にぴったりで、シンプルながらも緑色のクローバーが存在感をはなっていた。
『超可愛い〜vありがと!』
「やっぱりよく似合ってるよ。
あ、そうだ。ちゃん、晩ご飯もう食べた?」
『まだだよー。これから作ろうかなって思ってたとこ。』
「良かったvじゃあこれから食べに行かない?」
『あ、行く行く!ひとりで食べるの寂しいなーって思ってたとこなんだv』
「俺に連絡くれたらいつでも飛んで行くのになぁ。
ちゃんの愛がつまった手料理食べたいしv」
『よし、行こっか。』
キヨの口説き文句をさらっと無視して歩き出すと、後ろから「ひどいなー、ちゃーん・・・」という声が聞こえる。
だんだん私の中でキヨの扱いがひどくなってる気がするけど・・・ま、いいか。
まぁ一人暮らしをいつも心配してくれてるのはわかってるんだけどね。
今日は可愛いブレスレットも貰ったし・・・うん、ちゃんと改めてお礼言っとこ。
『ありがとう。』
「―――――っ///」
立ち止まって後ろを振り返り、笑顔でそう言うと、キヨが一瞬目を見開いた・・・・・・気がした。
そのまま固まっているキヨを不思議そうな顔で見てから、前を向いて歩き出すと
しばらくして後ろからキヨが追いついてきて横に並んで2人で歩き出す。
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誕生日はもうちょっと続きます。