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name:ラブvライチュウさま
title:合宿のおもひで。
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水色のが私です。
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よし、これでブン太くんに送ってもらったスタンツの写メを添付して、っと・・・・・
お、来た来た。
あいかわらずコメント速いなぁ〜。
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name:五輪ピアス
title:あいかわらず、
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見事な二頭身ですね。
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・・・・・・なんか間違えてるんですけど。
わざとかな?わざとだよね??
五輪ピアスくんは、どう間違っても素直に褒めることはないのね。(泣)
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name:ラブvライチュウさま
title:おい、こら。
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端のドラえもんじゃねーよ。
ステージ上のビビ"王女"だよ。
ヒロインだよ。
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ていうか、"あいかわらず"ってなんだよ、おい。
きみは私の何を知ってるんだ。←
066 大阪から来たゴンタクレ。
長いようで短かった立海合宿から帰って1週間。
じめじめ蒸し暑かった梅雨も明け、本格的な夏が到来しようとしていた。
今日は6月最後の金曜日。
しかも学校は、職員研修ということで午後の授業がなかったから
なんかこれから2.5連休って感じで、うきうきしながら学校を出た。
本当は真菜子とショッピングでも行きたかったんだけど、当然のように部活だったし・・・
仕方ないから1人でふらふらしようと思ってとりあえず駅前に来た。
あー、お腹すいたー。
お昼にしよっかな・・・
時計を見るとまだ2時前で、平日の昼間とあって歩いている人は少なかった
―――――が、その中にひときわ目立つ少年が目に入る。
年齢はたぶん中学生くらいかな?
赤い髪にヒョウ柄のタンクトップの小柄な少年が、道行く人に話しかけては、苦笑いでやんわりとスルーされている。
最初は明るかった表情も、それを繰り返すたびにどんどんふくれっつらになっていって
ついに駅前のベンチに足を投げ出して座ってしまった。
中学生がこんな時間になにしてんだろ?
なんか困ってるみたいだけど・・・大丈夫かな?
なんの目的もなく駅前に来た私の足は、気がつけばその少年のほうに向かっていた。
少年はベンチに思いっきりのけぞるようにもたれかかっていて
私が近くまで来ても気がついてないみたいだった。
声をかけようか迷っていると、どこからか"ぐーーー"という音がした。
そして、「もういややー・・・」という元気のない、幼さの残る声
―――――それは考えるまでもなく、目の前の少年から聞こえてきたもので。
『ねぇ、なんか困ってるの?』
私が話しかけると、少年はゆっくり私を見た。
目はうつろで、なんというか・・・生気が感じられない。
『お腹空いてるんでしょ?はい、これどーぞ。』
「えっ、これ貰ってええの!?おおきに!」
私が昼ご飯用に買っていたポケモンパンを笑顔で渡すと、
彼は急に生き返ったように目をきらきら輝かせてそれを受け取った。
袋を開けて豪快にポケモンパンに1口かぶりつくと、私のほうを見てにかっと笑う。
「わい、遠山金太郎言います〜。よろしゅうよろしゅう〜。」
『"金太郎"くん、ね。私は。よろしくねv』
「か。パンおおきに〜。うまいで〜。」
『えへへ、良かったね。』
口いっぱいに頬張りながらにこにこ食べる金太郎くんを見て、こっちも自然と笑顔になる。
"天真爛漫"とか"無邪気"とかは彼のためにある言葉なんじゃないかって思うほど
この数分間で彼の持つ明るい雰囲気に良い意味で呑まれていた。
『金太郎くんって、中学生だよね?』
「せや。中2やで〜。」
『てことは私の2こ下か。』
正直、もっと年下かと思ってたよ。
しゃべり方とか態度とかめっちゃ子供っぽくて可愛いし・・・
私もお腹がすいたので持ち歩いてるクッキーを食べながらお互いに簡単な自己紹介をしていると、
彼の手にあるパンもあと1口、というところで袋から1枚の紙が落ちた。
私はその紙―――――おまけのポケモンシールを拾って表を確認する。
そこには黄色いアヒルのようなポケモンが頭を抱えながらてくてく歩いていた。
『あ、"コダック"だ。』
「"ゴンタクレ"?」
『違うよ。コ・ダ・ッ・ク!』
「なんやー、白石にいっつもゴンダクレ言われるから
ねーちゃんにも言われたんかと思たわー・・・・・・あっ!」
少年が最後の1欠片を口に放り込んでもぐもぐしながら言った
・・・・・・と思ったら、突然大きな声を出すと同時にベンチから勢い良く立ち上がる。
なになに?コダックのこと気に入った?
心配しなくても、それは金太郎くんにあげるよ?←
「そうや!わい、コシマエのとこに行くところやったんや!」
『"コシマエ"?』
「せや!それで青学に行く道を聞いとったんやけど・・・
東京の人はみーんな冷たいなぁ。道くらい教えてくれたってええのに。」
『東京?金太郎くん、ここは神奈川だよ?』
「えっ!?ここ東京ちゃうんか!?」
『う、うん・・・』
ここが東京じゃないとわかった瞬間、金太郎くんが私の両肩をがしっとつかんで顔を近づけてきた。
うわー、綺麗な瞳ー。透き通ってるー・・・と、私がのん気に考えていたら
頭を抱えて「どないしよー。」とベンチの前をうろうろ。
『金太郎くんはどこから来たの?』
「大阪からや。」
『遠くから来たんだね〜。旅行?』
「ちゃうちゃう、部活の合宿やで!
新幹線で来たんやけど、富士山が見えたから下りてもうてな〜。そっから走ってきてん。」
『富士山ってことは・・・え、静岡から!?』
驚く私を見て、金太郎くんは自慢げににししと笑った。
静岡と神奈川って・・・詳しくはわかんないけど絶対遠いよね?
間違っても走って来れる距離じゃないよね?
・・・金太郎くんって一体何者?
「なぁなぁ、〜。東京の青春学園ってどーやって行ったらええか知らへん?」
『"青春学園"?』
「せや。コシマエがおるとこなんやけど・・・」
『んー・・・』
日本に帰ってきたばっかで正直神奈川のこともまだわかんないこと多いのに・・・
東京とか、キヨと1回しか行ったことないから全然わかんないよ〜
いやー、でも金太郎くんめっちゃ困ってるしなー・・・
そんなうるうるした瞳に見つめられたら・・・あー、もうお姉さん萌え///
なんとかしてあげたいんだけど・・・・・・ん?
『あれ?金太郎くんが背負ってるのって、もしかしてテニスラケット?』
「せやで。わいテニス部なんや。」
『やっぱり!』
まさかと思って聞いてみたら、やっぱり金太郎くんもテニス部だった。
今、私のテニス部員を引き寄せる力は、ダイソン掃除機の吸引力にも負けない気がするよ。←
『金太郎くん、ちょっと待ってね。』
大阪から遠征に来るってことは"青春学園"ってテニスの強豪校だよね。
てことは、テニス部の誰かなら知ってるはず。
立海のみんなは今部活中だからー・・・やっぱここはキヨかな。
電話のほうが早いけど授業中だろうからメールにしとこ。
《青春学園って知ってる?》ってメールをすると、授業中のはずにも関わらず
すぐに《青学?東京の?》という返信がきた。
《ん、多分。最寄り駅教えてv》
《たしか青春台駅だけど・・・行くの?》
《ちょっと用があってね〜。駅から歩いていける?》
《行けると思うよ。歩くのが嫌ならバスもあるし。》
《さーくるけー。》
《いや、言うならその続きのほうでしょ。》
私は仕方がないから《さんくす。》と送って、ケータイをポケットにしまう。
よし、最寄り駅さえわかればこっちのもんだ。
あとはケータイさえあればなんとかなるでしょv
『金太郎くん、行けるよ!行こう!』
ベンチの前でハトたちと戯れている金太郎くんを呼ぶと、彼は「ホンマ!?」と飛び跳ねて喜ぶ。
ふはっ、可愛い///
お姉さんはその笑顔が見たかったんだよ!←
『そーいえば。金太郎くんはお金はどのくらい持ってるの?』
あんまお金持ってなさそうだけど・・・、と思いながら聞くと
彼は「えーっとなぁ・・・これだけや。」と言って可愛いがま口財布の中を見せてくれた。
んー・・・・・・―――――100円玉が3枚とそれより細かいのがちらほら。
うん、やっぱり足りないね。いや、そんな気はしたんだけどね。
私は急いで自身の財布の中身を確認し、なんとか2人分足りそうだったのでほっと胸をなでおろす。
『よし、行こっかv』
「ほな、行くで〜っ!」
『あ、ちょ・・・』
金太郎くんが私の右手を掴んで、ものすごい勢いで走り出す。
運動神経は悪くないはずの私でも、ころばないように足を動かすのがやっとだった。
ちょ、速っ・・・
てか・・・・・・ちょっと待って・・・
『金太郎くん!そ、そっち改札とは逆ー!』
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ゴンタクレv