みんながそれぞれの役になりきり、力を出し切った私たちは
今日1番の歓声と拍手を受け、見事優勝を勝ち取ることが出来た。
みんなビビ役良かったよって言ってくれたしv
終わった後の達成感はハンパなかったなぁ〜。
優勝が決まった瞬間に、みんなで抱き合って喜んで
クラスが1つになれた気がしてちょっと感動しちゃったよ。
気になる優勝景品は、アイスクリーム!
疲れた後のこの一口・・・あー、たまらんv
061 立海合宿2日目 2人きり。
スタンツの優勝をひとしきり喜んだあと、私たちはオリエンテーリングの班ごとに別れて
外で晩ご飯のカレーを作った。
野菜の皮を包丁でむいたり、飯ごうでご飯をたいたりするのにみんな苦労していたけど
私は普段から(一応)料理はしているし、ジャッカルも出来るみたいだったから
私たちの班は比較的手際よくカレーを完成させることができた。
カレーなんて簡単に作れるし、珍しくもなんともないんだけど
自分たちの手で作ったからなんとなく特別な料理って気がしたし
スタンツの疲れと優勝の余韻が、カレーをさらに美味しく感じさせた。
みんなよっぽどお腹がすいていたのか、カレーはあっという間にみんなの胃の中へ消え、
ブン太くんが「味見にきたぜv」と言ってきたときには鍋の中は空っぽだった。
晩ご飯の片付けも終わって、生徒達はそれぞれ部屋に戻り
今夜のイベントの集合時間まではまだかなり時間があったから
各自部屋でのんびりしたり、お菓子パーティーをしたりしながら順番にお風呂へ入った。
お風呂に入って学校指定の体操服からティーシャツ・ショーパンに着替えると
いっきにテンションも上がって、『よし、ガールズトーク大会準備万端!』って感じ。
真菜子にオカタクのこと聞くのはもちろんだけど
ゆきネエとかれいちゃんの恋愛事情もぜひぜひ聞きたい・・・
「ー、石立くんが呼んでるよ。」
私がかばんからお菓子をひっぱり出していると
ふいに部屋のドアがノックされ、対応した真菜子が私を呼んだ。
『え?"石立くん"・・・?』
『誰だっけ、それ・・・』と一瞬思ったけど、とりあえずドアのところまで行ってみて
廊下に立っている男の子を見るとすぐに思い出した。
きのうのオリエンテーリングのときに班の女の子が怪我して歩けないところを
私とジャッカルが助けてあげた、イケメン"石立くん"。
でも、その彼が私に何の用だろ・・・?
「さん、いまちょっと外に出られる?」
私が部屋から出てきたのを確認すると、石立くんは少し安心したような笑みを浮かべた。
『うん。あ・・・ちょっと待ってて。』
私はケータイを持っていないことを思い出して急いで部屋に戻り
ベッドのそばに落ちていたケータイをポケットにつっこむ。
そのときに部屋にいたゆきネエや真菜子がにやにやしながら
「ぜったい告白だよ、告白v」「あいかわらずモテるね〜v」と冷やかしてきたので、
『もう、そんなんじゃないって。』と言いながらも恥ずかしくなって急いで部屋を出た。
『待たせちゃってごめんね。』
「ううん、俺がいきなり呼び出したんだし。じゃあ行こっか。」
『うん。』
「そういえば、さっきのカレーはどうだった?」
『美味しかったよ。石立くんは料理できるの?』
「あんまり得意じゃないかなー・・・」
何気ない会話をしながら2人並んで廊下を歩く。
私たちの意外な組み合わせに、すれ違う生徒たちが好奇の目を向けてくるが
隣の彼は全く気にする様子はない。
『どこ行くの?』と聞いたら
「2人きりでゆっくり話がしたいんだけど、いいかな・・・?」と不安そうに笑う石立くん。
あれ・・・これって、まじでもしかして・・・
いやいやいや、考えすぎか。
いくらなんでも"2人きり=告白"ってのは安易すぎる・・・・・・かな。
私が戸惑いながらもうなずくと、彼は心底安心した表情を浮かべた。
彼に促されるがままに歩いていくと、渡り廊下を渡って
各クラスがきのうスタンツの練習をしていた部屋がある別の棟まできた。
「ここで良いかな?」と言って石立くんが立ち止まった部屋には"第3倉庫"の文字。
え、倉庫・・・?とは思ったけどなんとなく断ることが出来なくて
彼に続いて私もその部屋に入る。
入ってみると、"倉庫"というわりにはかなり片付いていてきれいな部屋だった。
でもやっぱり"特別室"や"会議室"に比べると物も多く、狭い。
石立くんが部屋の中央まで歩いていったため
私もその後ろを追って少し歩くと、彼が振り返り自然と向かい合うような形になった。
もう7時すぎだというのに夏の太陽は出ずっぱりで、
なかなか月に主役を譲ろうとはしない。
それでも、さっきまでうるさく感じていたセミたちの合唱の声は
今ではかなり控えめになっていて2人きりのこの空間ではちょうどいいBGMになっていた。
「さん、きのうのオリエンテーリングでは本当にありがとう。
あのとき助けてくれなかったら
俺たちの班はゴールできてたかどうかわからないよ。」
『そんなそんな、私はなにも・・・』
正面に立つ石立くんからまっすぐに見つめられ、
これから続くであろう言葉がなんとなく予想でき、私は思わず下を向いた。
「ううん、他のクラスなのに手当てしてくれるなんて優しい子だなって思ったんだ。
それで手当てが終わったときさんの笑顔を初めて見て・・・
そのときからずっと、俺の頭からさんのことが離れなくなってた。
今日のスタンツも気がついたらずっとさんを目で追ってたし・・・
だから、・・・自分の気持ちに気づいたんだ・・・・・・」
少し沈黙が流れたかと思うと、彼は私のほうへ1歩足を出した。
そしてそのまま1歩、また1歩と近づいてくる。
そのことに少し驚いた私が、思わずうつむいていた視線を彼の顔に向けると
強い視線が私を射抜く。
「さんのことが好きなんだ。俺と付き合ってくれないかな?」
そう言ったときには、私たちの距離は1メートルもなかった。
それでもなお、どんどん近づいてくる彼・・・・・・私は反射的に後ろへ1歩下がった。
『・・・ごめんなさい。気持ちは嬉しいんだけど・・・』
おそるおそる私がそう言うと
―――――彼のまとっていた雰囲気が変わった気がした。
さっきまでの人当たりのいい笑顔は消え、
するどい目つきで私をがっちり捕らえている。
「どうして?ほかに好きな人でもいるの?」
『いや、そういうわけじゃないんだけど・・・』
「だったらいいじゃん。」
じりじりとつめよってくる彼に対して、目をそらすことが出来ないまま後退していると
・・・背中にひんやりとした感触。
思わず目線を後ろに向けると、白い壁が広がっている。
気づかないうちに部屋の端まで下がって来ていたみたいだった。
えっ、どうしよ・・・
なんか石立くん怖いし・・・早くこの部屋から出て行ったほうがいいかも。
私が後ろに向けていた顔を正面に戻すと突然、唇に何かが触れた。
そして、視界いっぱいに広がる石立くんの顔。
―――――キスされているとわかるのに、そう時間はかからなかった。
驚きで目を見開く私。それを見て石立くんがニヒルな笑みを浮かべる。
唇が離れようやく我に返った私は、あわてて彼の胸を手で押し返して
これ以上近づかれないようにした。
『ちょっと、なにするのよ。』
「さん、いや、。俺のものになってよ。」
『え、だから断った―――――んぅ・・・』
彼の胸を押さえていた私の両腕は、彼の手によっていとも簡単に外され
ふたたび唇がふさがれる。
そして今度はなにか温かいものによって口が無理やりこじ開けられ、思わず声が漏れた。
しゃべっている途中だったため、彼の舌は簡単に私の口内へ侵入し
いやらしく歯列をなぞり、舌を絡め取る。
どんどん深くなっていくキスに、抵抗が緩んだ一瞬の隙をつかれて
掴まれていた私の手は頭の上でひとまとめにされ、彼の左手で押さえつけられた。
『・・・んっ・・・ぁ・・・』
腕はいくら動かそうと思っても、すごい力で押さえつけられているのに加え
口内を侵され満足に力が入らないため、びくともしない。
足もさっきからじたばた動かそうとはしているが、
後ろは壁、前は石立の下半身がぴったりくっついていてろくに動かすことは出来なかった。
あいている右手であごを固定され、
唇を吸ったり、啄むような軽いキスから舌の根元から絡み合うものまで
角度を変えながら何度も何度も口付けされる。
唇が離され、助けを呼ぶため大声を出そうとすると
それをあざ笑うかのように再び降ってくる深いキス。
『・・・ぁッ・・・ゃっ・・・』
呼吸もままならない状態が何分か続き、
苦しさと嫌悪感で自然と涙がほほを伝うのがわかった。
すると突然彼の顔が離れ、両腕も解放された。
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こういうシーン書くの苦手なんですよね・・・(笑)