オリエンテーリングは無事に班の子と合流し、

特に速くもなく遅くもないタイムでゴールした。





結果 私たちC組は9クラス中3位という

これまた微妙な順位でしたが・・・



まぁ 3位の景品としてジュースを貰えたので私としては大満足です。








石立くんたちの班も無事にゴールできてたみたいだし

それなりに楽しかったから良しとしよう。










あー、いい汗かいたv
















057 立海合宿1日目 やっぱり迷子。















オリエンテーリングのあとは少しのんびりしながら

各クラス順番にお風呂に入って、広い食堂で夕食を食べた。





そしてこの後は夜まで

クラスごとに明日のスタンツの練習時間となっていた。










スタンツっていうのは

各クラスに与えられた5分間という持ち時間の間に

クラスの特色を生かしたダンスや寸劇などを披露するという

立海合宿の目玉行事・・・らしい。








ほとんどのクラスは

今流行りのアイドルの曲を完コピしたりするらしいんだけど


私たちC組はダンス部と演劇部の子が考案した"寸劇+ダンス"という

なんだか難しそうな脚本。





合宿に行く前からホームルームの時間などを使って

けっこうな量を練習はしてきたけど



今日これからの3時間と明日の午前中3時間の

計6時間で完成できるかどうか


不安に思っているのは私だけではないはず・・・










ま、私は端っこのほうでちょこっと出る役になればいいんだから

みんな頑張ってくれ。



私は無難に成し遂げられれば満足だから。←















「なんか、今回の景品けっこう豪華らしいよー。」



食堂から各クラスの練習室に移動していると、隣を歩く真菜子が言った。





『まじ?』


「うん、先生が言ってた。」








オリエンテーリング1位だったB組はお菓子もらってたしー

それより豪華ってことはー・・・





よし、前言撤回。


みんな、景品目指して頑張ってくれ。←















『あ、ごめん。ちょっとトイレいってくる。』



真菜子と話しながら廊下を歩いていると、少し先にトイレが見えたため

私はこれからの長い練習時間にそなえて今行っておくことにした。





「うん。私は体育委員でちょっと打ち合わせとかしておきたいから先行くね!」


『りょうかーい。』


「迷わず来てよー?」


『大丈夫だって。第4特別室でしょ?』



こんなこともあろうかと

"合宿のしおり"を見て、すでに予習済みなのだよ!


いつも真菜子と一緒に行けるとは限らないからね〜v



まぁ "第4特別室"って初めて見たときは

4つも特別室があるんだったら

もはやそれは"特別"じゃないんじゃないかって思ったけど・・・



ま、そんなことを考えても仕方がない。





「お、わかってるじゃん。じゃあお先!」


『はーい。』





真菜子と別れ、トイレを済ませて廊下に出ると

そこにはまだたくさんの生徒たちが歩いていた。













みんなまだいるから練習時間は始まってないよね。


よし、第4特別室いこーっと。



えーっと、確か・・・・・・あれ?








・・・ちょっと待った。





私 部屋の名前知ってるけど



場所知らなくね?←










私の周りだけ一瞬時が止まった気がした。



暑さのせいではない汗が背中をツーっとつたう。





やば、一人じゃ行ける気しなくなって来た・・・



誰かC組の人いないかな・・・










周りを見渡しても同じクラスの人はおろか

知っている顔も見当たらない。



真菜子や幸村くんのケータイに電話してみても

呼び出し音が聞こえるだけで全然つながらなかった。










どうしよ、本格的にやばい・・・










私がトイレの前で焦って右往左往していたら


男子トイレからでてきた生徒と、ばっちり目が合った





・・・気がする。





だって彼、目が開いてるかどうかわかんないんだもん。←













『あ、柳くーん!』





トイレから出てきた生徒というのは柳くんだった。



図書館で助けてもらったあとも、何度か移動教室などで会うことがあって

今ではあいさつをし合う仲になっていた。



なんか困ってるときにいつも現れてくれて・・・

私は柳くんのことが天使に見えてきたよ。










か。道にでも迷っていたのか?」


『そーそー、道に迷って・・・ってなんでわかったの?』





『まだなにも言ってないのに・・・』と言うと

彼はふっと笑いながら「顔に書いてある。」と答えた。





いや、顔になんか書いてるわけないじゃん・・・

でも柳くんって、いつでもなんでもわかってる感じするよねー。


なにかあるとノートみたいなの広げてメモ取ってるし・・・





ていうか、あのノートって何が書いてあるんだろ?


今度頼んだら見せてくれるかなぁー・・・





って、今そんな状況じゃないの忘れてた。





『てか、事情がわかってんなら話は早いじゃん。

 第4特別室ってどう行けばいいかわかる?』


「あぁ、第4特別室なら・・・」





柳くんはポケットから小さなノートを取り出して、

それを見ながら私に道を教えてくれた。










え、そのノートってこの合宿所の見取り図まで書いてあんの・・・?



めっちゃ中身気になるーっ!





私がノートをじーっと見つめていると

その視線に気づいた柳くんが「どうした?」と聞いてくる。



私は反射的に『ううん、なんでもない。』と言ってから


中身見せてって頼めばよかったと、軽く後悔・・・








でもすぐに、今はそんなことしている場合じゃないと思い直して





柳くんにお礼を言って、(道を忘れないうちに)第4特別室へ向かった。
















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もうちょっと柳と絡みたかった・・・