急いでゲームセンターにかけこんでから

少しぬれてしまった服やかばんをハンカチで拭く。








んー、これからどうしよっかなー・・・



どーせだからマリカ(マリオカート)でもしよっとv










財布の中を確認して所持金をチェック。





あれ、100円玉が全然ないじゃん。

両替しなきゃ。


1000円札くずしちゃおー。



初回は200円でコンティニューはプラス100円でできるからー・・・


9回はできるなv



よし、めざせ9連勝!










私は口笛を吹きながら

(いや口笛はふけないから、正式には口をとがらせて鼻歌を歌いながら)

両替機のところへ向かうと、



その機械の前に1人の少年が立っていた。













あの色黒ハゲは・・・・・・
















053 雨宿り。















『わっ!』



「うおぉっ!?」





そーっと彼に近づいていって、後ろから耳元で大声をだす。





突然聞こえた声に驚いた彼は、私の方を振り返って

目を白黒させていた。










あはは、驚いてる驚いてる。



リアクション良すぎだってのv















『よっ、ジャッカルv』


「なんだかよ。驚かせんなよな。」


『あはは、ナイスリアクションだよ。』





私が笑いながら親指を立てて"グー"ポーズをすると

後ろ頭をかきながら「うるせーよ。」と苦笑いした。








『学校外で会うとか初めてだね〜。』


「あぁ、確かに。もゲーセンとか来るんだな。」


『えー、私ゲームめっちゃ好きだよ?

 まあ今日は雨宿りのために来たんだけどね。』


「また雨降りだしたのかよ。」


『うん。けっこうどしゃ降りー。

 ジャッカルは部活帰りな感じ?』





日曜だっていうのに制服着てるし。



部活帰りにゲーセン寄るとか・・・あー、めっちゃ青春ぽい。








「おう。雨だから筋トレだけで短かったけどな。」


『へぇ〜、お疲れー。』


ちゃーんっ!」





『一人で来たの?』ってつづけて聞こうしたら

遠くから大声で自分の名前を呼ぶのが聞こえた。





声のしたほうを振り返ると、

こっちに向かって走ってくる1人の少年の姿が見える。













―――――あ、やっぱりブン太くんだ。










ちゃん、なんでこんなとこいんの?」


『ブン太くんもいたんだ〜。

 んー、今は雨宿り中かな。』


「へぇー、そっか・・・」





ブン太くんが私の隣まできて、じっと私を見つめていたかと思うと

ぱっと顔を赤くして視線をそらす。










『・・・?どーかした?』



なんかついてる?

あ、もしかして雨でマスカラが落ちて黒い涙流してるとか・・・?





「いや・・・なんでもねー///

 ちょっといつもと雰囲気違ったから・・・」


「あぁ、確かにな。

 制服じゃねーから最初は誰だかわかんなかったよ。」


『え?そーかな・・・?』





ジャッカルに言われて、自分の服装を改めて見た。





確かに今日は日曜だから、もちろん私は制服ではない。



ボーダーペプラムのトップスに、下はジーンズショーパンというファッション。

じめじめして暑いから髪も高い位置でひとつにまとめている。


まさに"ポニー●ールとシュ●ュ"です、はい。















「丸井せんぱーい、急にどっか行かないでくださいよー・・・」





突然隣からブン太くんを呼ぶ声が聞こえたので

私は自然と視線をそちらに向けた。










「あ、忘れてた。」


「ちょっと、忘れてたってなんスか!ひどいっスよー!」





ブン太くんにふくれっつらで文句を言っているのは

黒髪で(天然?)パーマのちょっとつり目の男の子だった。





ブン太くんのことを先輩と言ってるし

着ている制服も似てるけどちょっと違うから中等部の子かな・・・?



ていうか、黒髪とかもいるんだねー。



私の知ってる人たちといったら・・・

赤髪にオレンジ髪に銀髪にハゲ(スキンヘッドだよ!byジャッカル)だからなー。















私が無意識にその男の子をじーっと見つめていると





その視線に気づいたのか、彼も私のほうを向いた。
















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赤也との出会い。