「ちょ、サンダー使ったの誰だよ!?」
「すんません、俺っスv」
『赤也くんか!よし、くらえ、ゲッソー!』
「げっ、前が見えねぇ。」
『ふははは、参ったか。お先〜♪』
「あ、お前、キラー隠し持ってたのかよ。」
「ちょ、ちゃん速すぎ!」
『へっへーんv奥の手は最後までとっておくものなのだよ。』
053.7 先輩。by切原
「先輩、強かったっスねー。」
「確かにな。
丸井がゲームで負け越したのなんか初めて見たし。」
結局5回戦やって、俺とジャッカル先輩はまるで歯が立たず、
丸井先輩でも1勝するのがやっとだった。
マリオカートを終えて4人でゲーセンを出たときには
雨はすっかり止んでいた。
それから、丸井先輩が先輩を送っていくと言い出して
俺もついていこうと思ったけど
強引に2人で行ってしまった。
だから、今はジャッカル先輩と駅前の道を家に向かって歩いている。
なにが寂しくて男2人で歩かなきゃいけないんだよ。
俺だって先輩のこと送りたかったし・・・
「丸井先輩ってー、先輩のこと好きっスよねー?」
「あぁ、やっぱわかるか?」
そりゃー、今日の態度見ればわかるっしょ。
まあ丸井先輩は比較的、女の子みんなに優しいけど
先輩に対するあれはどう考えても特別だし・・・
「ま、可愛いっスもんねー、先輩。」
「確かにな。中身はちょっとアホだけどな。」
「あー、そんな感じします。」
アホって言うか、
自分を着飾ってなくて素直って言うかー・・・まあ、そんな感じ。
ジャッカル先輩が俺が同意したのを聞いて
「おい、それ失礼だぞ。」と笑いながら言ってきたけど
俺の中では良い意味で言ってるつもりだから
適当に笑ってごまかしておいた。
「でもなんか、今回の丸井先輩
ちょっとまじっぽいですよね?」
「あぁ、なんか高校入学する前にに助けてもらったことがあるらしくてよ。
ほら、前に言ってただろ?
バスでめっちゃ可愛い子に会ったって・・・」
「あー、言ってましたね。
え、もしかしてその子が・・・」
「そう。だったってわけ。」
「へぇー、なるほどねぇ・・・」
顔もあんだけ可愛くて、性格も良いみたいだし
その上助けてもらったとなったら
丸井先輩でもまじで惚れるっつーわけか・・・
「そのうえ幸村まで、のこと気に入ってるみたいだしなー。」
「えっ、幸村部長が!?」
「あぁ。好きとかそういうのかどうかはわかんねぇんだけど。
服装検査でひっかかったをかばったって噂もあるし。」
「まじっスか・・・」
幸村部長って優しくてモテるけど
必要以上に女子とは関わらない人だと思ってた。
でも、先輩のことは気に入ってるって・・・
「・・・・・・おもしれぇっスね。」
「ん?なんか言ったか?」
「いや、なんでもねぇっス!」
俺がぼそりとつぶやいた独り言は
誰にも聞かれることなく
雨上がりの静かな夜に溶けていった。
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次回から立海合宿編です。