ジャッカル先輩と話していた女の人は

同じ学校の知り合いだったみたいで

丸井先輩を入れた3人で楽しそうに話を始めてしまった。





丸井先輩とか思いっきり頬ゆるんでるし・・・


完全に目がハートになってるじゃねぇか。










・・・・・・って、ちょっと!








俺のこと完全無視じゃないっスか!
















053.5 マリオカート。by切原















「丸井せんぱーい、急にどっか行かないでくださいよー・・・」





楽しそうに話す3人のもとに近づいていって、

ふてくされた顔で愚痴を言うと


丸井先輩は俺の顔を見て「あ、忘れてた。」とつぶやく。








「ちょっと、忘れてたってなんスか!ひどいっスよー!」





そう文句を言ってみても、目の前の先輩は

全く責任を感じてない態度で「わりぃわりぃ。」と笑っている。








ぜってー悪いと思ってねぇし・・・


まったく、この人は・・・





俺が先輩を見ながら小さくため息をついていると

ふと隣から視線を感じた。





自然と俺の視線もそちらに向いて



いままで先輩たちと話していた女の人と目が合った。















うわ、まじでめっちゃ可愛い人・・・・・・










色白でくっきり二重の目、形の良い鼻や唇・・・


顔のどのパーツをとってみても完璧で

そのへんのテレビに出てるアイドルなんかより確実に可愛い。





アップにした髪形によって、顔が小さいのがより強調され、

ぱっちりした瞳ときょとんとした表情が、彼女を童顔に思わせるが


雨のせいで少しぬれたまつ毛は、どことなく色気っぽく

少し年上の雰囲気を感じさせる。








あー、やっぱ同じ学年の女たちとは全然違うな。


かといって、俺に言い寄ってくる先輩みたいにケバくなくて・・・



なんつーか・・・・・・あ、そうそう、"清純派"?





まじ可愛くてキレイな先輩・・・















「なに見とれてんだよ。」


「痛ぇッ・・・」





いきなり後頭部に痛みが走ったかと思うと

明らかに不機嫌そうな丸井先輩の声。





さっきまであんなニヤついてたのに・・・

あー、なるほど。ヤキモチっスか。








『ブン太くんたちの後輩?』


「あー、まあな。」


「中学のときのテニス部の後輩なんだよ。」


『へぇー。』





隣に立つ先輩は、丸井先輩たちと話しながら俺のほうをちらっとだけ見る。



立海なのに俺のこと知らないってことは

高校から外部で入ってきたのか・・・?



あ、そーいえば、高等部のほうに美人な外部生がいるって

噂聞いたことあるかも。



そもそも、中等部のときに1こ上にこんな先輩がいたら

知らねぇはずがねーし・・・


ぜってーこの人のことじゃねぇか!





「俺、切原赤也っス!中3でテニス部の部長っス!

 よろしくお願いします!」


『あ、うん。よろしく。』


「赤也、お前なに勝手に自己紹介してんだよ。

 ちゃん、こいつとは何もよろしくしなくていいからな?」





突然の俺の自己紹介に、最初は目をぱちくりさせていたけど

すぐににっこり笑ってくれた。



あ、笑顔もやっぱ可愛いっスね。





まあ、そんな俺たちの仲を

すぐに丸井先輩が必死で邪魔してきたけど。



ふーん、丸井先輩って

わりとまじでこの人のこと好きなんだ。








「へぇー、""先輩って言うんスか。」


「あっ、お前ちゃっかりちゃんのこと下の名前で呼ぶんじゃねぇよ!」


「いいじゃないっスか。ね〜、""先輩v」


『え?うん、別にいいけど・・・』


「俺のことも下の名前で呼んでくださいね。」


『えっとー・・・"赤也"くん、だっけ?』


「そーっス!」


「あー、もうちゃん!断らなきゃダメだって!」


『えー、なんでー?』


「なんでってー・・・なんでもだよ!」


「ブン太、お前ちょっと落ち着けって。」





ジャッカル先輩が丸井先輩のようすを見かねて止めに入る。


・・・やっぱ高校に入ってもこの関係は変わってないんスね。





「そうですよー、先輩。

 あ、そうだ。

 せっかく先輩と会ったんだから一緒にゲームしないっスか?」


『やるやる!みんなでマリカしようよ♪』


「お、いいじゃん。やろーぜ。」



ちゃんの誘いの言葉によって

丸井先輩の機嫌はすぐになおり



ジャッカル先輩はそれを見て小さくため息をついていた。















それから、4人でマリオカートのゲームのところへ向かい

それぞれ1台ずつゲーム用のシートに座る。








先輩が座ったシートの左隣に丸井先輩が座って


俺が先輩の右隣に座ろうとしたら、



それを見ていた丸井先輩が「お前、こっち座れよ。」と言って、

丸井先輩の逆となりのシートを指差した。





「嫌っスよ。俺、先輩の隣がいいっス。

 先輩も俺の隣がいいっスよねー?」


『え、私?赤也くんが隣で良いよ?』



先輩がそう言うから、丸井先輩はしぶしぶ諦めたみたいだった。





つーか・・・丸井先輩ってこんなにわかりやすい人だっけ?













『よし、じゃあやるよ〜v』


「あ、待って。ちゃんはお金出さなくていいよ。

 今日は奢るから・・・・・・ジャッカルが。」


「俺かよ!」


「いいじゃん。女の子に払わせるのかよ?」


「じゃあお前が払えよ。」





先輩たち2人のやりとりを見て

先輩はケタケタ笑っていた。















―――――ッ///








初めて見る先輩の思いっきり笑った顔に

俺は一瞬、目を奪われた。





いつもの整った顔がくしゃっとなって

ほんとにはじけるような笑顔だと思った。















その後、先輩は結局自分でお金を出して





俺たちは計5回戦、マリオカートを楽しんだ。
















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可愛い後輩ですよねー。