雨のせいで、今日の部活は筋トレと中練を軽くやって即終了。
県大会ももうすぐだってのに、ここんとこ雨多すぎ・・・
まあ早く帰れるからいいんだけど
中練は中練できついしなー・・・
部活が終わって家に帰ろうとしていたら
校門のとこで、丸井先輩とジャッカル先輩にばったり会った。
先輩たちは今からゲーセンに行くらしく
俺はひまだったし、彼らについていくことにした。
053.2 好奇心。by切原
「ジャッカルのやつ遅ぇなー。なにやってんだよ・・・」
格闘ゲームの前で待ちくたびれた丸井先輩が
ついにしびれをきらせたみたいだ。
ジャッカル先輩は少し前に両替をしてくるといってこの場を離れた。
でも、それからけっこうな時間が経っているし
いくら両替機が混んでたとしても、もう帰ってきてもいい時間だ。
「確かに遅いっスねー。
ナンパでもしてんじゃないっスか?」
「いや、ジャッカルに限ってそれはねぇだろぃ。
赤也ー、ちょっと見て来いよ。」
「えー、なんで俺が・・・」
「後輩だからに決まってんだろぃ。」
この先輩はこーゆーときだけ先輩面するんだから・・・
なかなかこの場を離れようとしない俺を見て
丸井先輩が「早く行って来いよ。」と急かしてくる。
「はいはい、行って来ますよー。」
俺はしぶしぶ両替機のほうへ向かうと
遠目でジャッカル先輩が機械の前に立っているのが見えてきた。
あ、いたいた。まだ両替してんじゃん。
なにやってんだよ、ジャッカル先輩・・・
―――――あれ?
よくよく見ると、ジャッカル先輩の隣には
知らない女の人が立っていた。
先輩は普段見られないような笑顔で
とても楽しそうに彼女と話している。
うそ、ジャッカル先輩がまじでナンパかよ。
しかも超キレイな人だし・・・
ジャッカル先輩も隅に置けないっスね〜。
俺は急いで丸井先輩のところへ戻って、さっき見たことを報告する。
「丸井先輩!大変っス!」
「どうしたんだよ。つーか、ジャッカルは?」
「それなんスよ!
ジャッカル先輩がナンパしてたんです!
しかも相手がめっちゃキレイな女の人で・・・」
「おいっ、まじかよ!?」
俺の説明の途中で、丸井先輩の目が明らかにキラキラ輝き出した。
完全に顔がにやけきっていて、好奇心丸出しの表情。
「今どこにいんだよ!?」
「両替のとこっス。」
「よし、行くぞ。」
それから2人で両替機の近くまで行き
ジャッカル先輩に見つからないようにUFOキャッチャーの陰に隠れた。
そして顔だけをだして、こっそり様子をうかがう。
ジャッカル先輩は、さっきと変わらず女の人と楽しそうに話をしていて
こっちに気づく様子はない。
「ほら、見てくださいよアレ。
めっちゃ楽しそうに・・・・・・って、あれ?丸井先輩?」
さぞ愉快そうに見ているだろうと思って丸井先輩の表情を見ると
俺の予想に反して、ただただ驚いてるみたいだった。
「どうしたんですか、丸井先輩?おーい・・・」
目の前で手をぶんぶん振ってみたけど、反応なし。
目はまん丸で、口も半開きのまま。
おいおい、どうしたってんだよ・・・
まさかジャッカル先輩がナンパした子が可愛すぎて信じられないとか?
うんうん。その気持ちは俺も分かるぜ、先輩。←
「、ちゃん・・・?」
「え?」
「ちゃーんっ!」
丸井先輩が小さくつぶやいた言葉がよく聞こえなくて聞き返そうとしたら
突然先輩がジャッカル先輩のほうへ向かって走り出した。
「え、あ・・・ちょっと!見つかっちゃいますよ!?」
俺は突然のことで一瞬呆気に取られてしまったが、
すぐ我に返って丸井先輩のあとを追った。
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長くなりそうだったので、ここでいったん切ります。