帰り道にスーパーで買ったお惣菜をおかずにして
サラダとご飯だけは自分で作った。
これで自炊しているって言ってますけど何か問題でも?←
・・・まあ土日は一応やってるんで許してください。
050 心配性なママ。
ご飯を食べて、その片付けも終わり
テレビを見ながらソファーの上でダイキとのーんびり。
私の膝の上で丸まってるダイキは
背中をなでてあげると気持ち良さそーに目を細める。
その表情がまた可愛くて可愛くて・・・
すっかり私になついたダイキは
私が名前を呼ぶと返事をしてくれるようになっていた。
『ダイキー。』
《にゃーぁ》
『ダイキー。』
《にゃーぁ》
『ダイキ《にゃーぁ》・・・』
『ダ《にゃーぁ》・・・』
何回も連続で呼ぶと
もう食い気味で返事してくるんだよね〜。
あー、なんて可愛いんだ、この子は。
ダイキの丸まった背中で黒い部分だけの毛を逆立てるゲームをしていたら
突然ポケットの中のケータイが鳴った。
それに驚いてビクッとなったダイキに『ごめんね〜。』と謝りながら
急いでケータイを取り出すと
ディスプレイには《千石 清純》の表示。
あ、キヨじゃん。
『もしもーし。』
《あ、もしもし、ちゃん?》
『うん。元気だよ。』
《うん、元気〜?って今聞くとこだったんだけどね。》
『だろうと思って先に答えた!』
《あはは、さすがだね。》
『まあね。エスパーだからね。ラッキー千石には負けないよ。』
《ははっ、俺も負けないよ?》
電話の向こうでキヨが笑っている。
あー、この感じ・・・やっぱ落ち着く。
キヨと話してるとなんとなく安心するんだよねー。
『ところで、なんか用だったのー?』
《いや、特に用はないんだけどね。
学校でちゃんとやっていけてるかなーって思ってさ。》
『・・・なーんかお母さんみたいだね。』
今日あった2回の"お呼び出し"のことが自然と思い出されて
一瞬あいてしまった間をなんとかごまかした。
キヨっていつも私がなんとなく元気でない日に限って
電話してくれるんだよね。
なんでだろー・・・不思議。
『心配しなくても、ちゃんとやってますー。』
《そっか。友達もちゃんとできてる?》
『過保護なお母さんだなー、もう。
ちゃんとできてるってー。出来すぎて困ってるよ。』
《しつこい男に言い寄られて困ったりしてない?》
『あはは、大丈夫だって。』
《ほんと?ちゃん可愛いから俺心配で心配で・・・》
なんか言うことがうちのバカ兄貴と似てきたな。
私からしてみたらそっちのほうが心配だよ・・・
『そういえば今日ねー、
立海の女の先輩たちがキヨのこと知ってる感じで話してたよ。』
《ほんと?なんてなんて?かっこいいって?》
お姉さま方が私にたぶらかされてるって言ってたよー
と心の中で言ってから『うん。まあそんな感じ。』と答えておいた。
《そっかそっかー、嬉しいね〜v》
あー、いま絶対キヨの鼻の下伸びてるな。
見たこともない女の子を想像してでれーっとできるなんて
これもある意味才能だと思う。←
《あれ、もしかして妬いてる?》
私が(半分呆れて)黙ってしまったのに気づいて
勘違いしたキヨが嬉しそうに聞いてくる。
『あー、妬いてる妬いてる。超やきもちー。』
《心配しなくても本命はちゃんだけだからv》
『はいはい。身に余る光栄ですー。』
《また冗談だと思ってー。
俺、けっこう本気なんだけどな〜。》
でもみんなに言ってるでしょーが。
まあ"この世の女の子全て"が本命(プロフィール参照)なんだから
あながち嘘はついてないのか・・・
電話の向こうでまだぶつぶつ言っている声から
部屋の隅に座ってすねているキヨの姿が簡単に想像できて
私は思わずふっと笑ってしまった。
それを聞いたキヨが「え?いまなんで笑ったの?」なんて聞いてきたけど
『ううん、なんでもない。』と適当にごまかす。
《でも、良かった〜。》
『え?なにが?』
キヨが突然独り言のようにつぶやいた安堵の言葉に私は首をかしげた。
なんか良いことでもあったのかな・・・?
《いや、だって今日のちゃん
なんか元気ないな〜って思ってたんだけどさ。
やっといつもみたいに笑ってくれたし。》
『え・・・・・・?』
元気ない声なんてしてたかな・・・?
別に普段どおりにしてたつもりなのに・・・
『なんでわかったの・・・?』
《ちゃんの声を聞くだけで俺にはわかっちゃうんだよv》
『だてに女好きなわけじゃないんだね〜。』
声聞くだけでわかっちゃうなんて・・・
びっくりしてちょっとドキドキしちゃったよ。
《ちゃんはトクベツだけどね♪》
『はいはい、どーも。』
《でも本当に、なにかあったら俺に相談してくれていいんだからね?
俺はちゃんのためなら何でもするから。》
急に真剣なトーンになるキヨに少し戸惑いながらも
いつもと違うそのギャップに少し心臓の音が大きくなった気がした。
『ありがと。充分頼りにしてます。』
照れ隠しで、なるべく平静を装っていつも通りに答えたら
電話の向こうのキヨは《だったら良いんだけどね。》と言ってふっと笑った。
その声を聞いたら、優しく笑うキヨの顔が頭に浮かんできて
また少し心臓の音が大きくなった気がした。
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ダイキの名前をなんども呼ぶと食い気味で返事をする感じは
うちのばあちゃんちの隣の家のネコがモデルになってます。
ほんとに食い気味で返事して可愛いんです。