4限目終了のチャイムが鳴り

昼飯を持って急いで隣の教室へ向かう。





―――――あー、早くちゃんに会いてぇ。















C組の教室のドアを開けて彼女の姿を探す。










あ、いたいたv








ちゃんはいつものように席に座って、

ケータイを見ながら風宮と話をしていた。















「まーたダイキくん見てニヤついてんの?」


『だーって、めっちゃ癒されるんだもんvほら見て、ほら!』


「あー、はいはいわかった。

 じゃあトイレいってくるから先食べてて。」


『はーいv』


「ほんとに好きなんだねー・・・あ、丸井。」








俺に気づいた風宮に、俺が来たことを伝えられたのだろう。



ケータイを見つめていたちゃんがこっちを見て

笑顔で小さく手を振ってくる。










あー、やっぱ可愛いなぁ〜///








・・・ところで、"ダイキ"って誰?










・・・・・・・・・もしかして彼氏!?

















045.2 不安やきもち。by丸井
















『ブン太くん、おはよー。』


「おう、ってもう昼だけどな。」





俺は"ダイキ"のことが気になりながらも

ちゃんのほうに歩いていって、隣の空いているジャッカルの席に座る。










「あれ、ジャッカルは?」


『なんか委員会の仕事なんだってー。

 でもすぐ帰ってくるって言ってたよ。』


「そっか。」





ジャッカルのことを話しながらも

俺の頭の中は謎の男・"ダイキ"のことでいっぱいだった。








あー、気になるー・・・



聞きてぇけど・・・



まじで彼氏なのかよ。



いや、確かに彼氏いるかどうか聞いたことないし・・・



うわー、いたらまじでショックだな・・・





でもやっぱ気になる!










「なあ、さっき話してた・・・あのー・・・」


『ん?』


「その、あーっと・・・」


『ダイキ?』


「そうそう、そいつ。」





下の名前、呼び捨てだもんな・・・



ちゃんが下の名前呼んでるの俺くらいだし・・・



俺でも"くん"付けだから・・・





やっぱり彼氏ってことなのか・・・?










『マンションではいつも一人だったんだけど

 いまはダイキのおかげで寂しくないんだ〜v』


「え・・・?一緒に住んでんの・・・?」


『うーん、まあ勝手に居候してるってのが正しいんだけどね。』


「い、居候・・・」





まじかよ・・・



やっぱちゃん、彼氏いたのかよ・・・


しかも同棲までしてるみたいじゃん・・・








『今日なんか朝起きたらベッドの中に入ってきててさー。』


「ええっ!?」





いきなり大声を出した俺に、

ちゃんだけじゃなくクラス中の視線が集まる。



でも、そんなの気にしてられないくらいに俺は動揺していた。










朝起きたらベッドの中にいたって・・・


朝起きたらベッドの中にいたって・・・・・・



朝起きたらベッドの中にいたって・・・・・・・・・





つまりは、そういうことだろぃ?










俺は目の前が急に暗くなっていくような気がした。





なんか気分も悪くなってきたし・・・


あー、まじでやべぇかも・・・










急に黙った俺のことを心配そうにちゃんがのぞきこんでくる。








あー、その心配そうな顔も可愛いなぁ///



いや、でも昨日の夜は他の男と寝たんだろぃ・・・?





それ考えるとまじでショックー・・・










『どうしたの?急に黙っちゃって・・・』


「いや、なんでもねー。」


『あ、そうだ!ダイキの写真でも見る?元気出るかもよv』





なんで好きな子の彼氏見て元気出るんだよ!


のどまで出かかったその言葉をぐっと飲み込んで

「いや、遠慮しとくぜ。」とだけなんとか絞りだした。










ケータイの画面をとても愛おしそうに見ているちゃん。





その視線の先が俺じゃないことに少し苛立ちを感じたが

今はそれ以上にショックがでかかった。










あー、もう目も見れないわ・・・















「ごめん、やんなきゃいけねーこと思い出したから

 今日やっぱ教室で食うわ。」


『あ、うん。わかった。

 頑張ってね〜。』










俺はふらつきそうになる体を必死で支えながらB組の教室へ戻った。















・・・・・・あー、涙でそう。
















*************************

勘違いブン太くん。