におーやさんから返ってきた箸で肉野菜炒め(ピーマン抜き)を食べる。





あ、そーいえばこれって間接キスになるのか・・・








まーでも、学校で"でぃーぷきっす"しちゃうにおーやさんは

こんなの気にしないだろうなー。
















042 ぷちぷち恋愛相談?















ご飯を食べ終わって、いつものようにオレンジティーを飲んでいると

それを見たにおーやさんが、なにか思い出したような顔をする。





「なぁ、。」


『んー?なんすかー?』


「好きなやつが好きなものは好きになるもんなんか?」





・・・ん?



なんかすーっごい理解しにくい日本語なんですけど。








『・・・ごめん、もう1回ゆっくりわかりやすく言って。』





私がそう言うと、におーやさんは

「そういえばお前さんは理解力がなかったな。」なんて

サラッと失礼なことを言う。



におーやさん、あんたって人は・・・








「じゃから、惚れたやつが好きなものを、

 今まで好きでもなんでもなくても、自分も好きになるもんなんか?」


『あー、なるほど。そーゆーことか・・・』



うん、やっと理解できた。



好きな人が好きなもの、かー・・・





『んー、なるんじゃないかなー?

 その人に少しでも近づきたいとか。

 その人が見てる同じ景色を見たいとか。

 恋をするってそーゆーことかなって私は思うけど。』


「ふーん。」





自分から聞いてきたわりに、興味なさそうなにおーやさん。



でも、いきなりなに言ってんのかと思ったら・・・


なんか内容が乙女みたいだな。










『なに、ポケモン好きになった?』



なんだかんだ言って、前にあげたソーナンスくんのシール

ケータイから剥がしてないの知ってるんだからね!





つまりは私のことが好きになった?





・・・・・・ふはっ。自分で言ってて笑えてくるわ。








にやにやした顔でにいおーやさんを見たら、

すぐにおでこに激痛が走った。










「ならんわ。調子乗りすぎぜよ。」





におーやさんは私にデコピンをお見舞いした手で

私の手からオレンジティーを奪い、そのまま飲む。










『いったー・・・』





もー、におーやさんのデコピンは破壊力バツグンなんだから


ちょっとは手加減してよねー・・・








私はケータイの画面を鏡代わりにして、おでこチェック。










うわ、赤くなってるし・・・



最悪やー



恥ずかしいんですけどー・・・










赤くなったおでこを押さえて、におーやさんを軽く睨んだんだけど

彼は無関心で空を見上げていた。















くそぅ。



空見てるだけで絵になるんだもんなー


イケメンっていいよなー















私は小さくため息をついて

時間をチェックするためにケータイのボタンを押した。





すると画面がパッと明るくなって

座布団の上に丸まっている三毛猫の写真が表示される。










あー、やっぱ可愛いーv



まじで癒されるー・・・













画面に映ったのは、待ち受けにしているダイキの写真。





それを見て癒されていると、におーやさんの視線を感じた。










「顔がニヤけて きもいぜよ。」



私が彼に視線を向けて、目が合った瞬間に言われた。





いや、真顔できもいとか・・・ちょっと傷つく。



でも、へこたれないもんね!








『見て見て、ダイキ!可愛いでしょ〜v』



ゆるみきった顔でケータイの画面をにおーやさんに見せる。



せっかく自慢げに見せたのに、

彼は興味なさそうにチラッと見ただけだった。





「お前さん、ネコ飼っとんか?」


『うーん、飼ってるって言うかー、

 ベランダに住み着いちゃってる感じなんだよねー。

 うちは一応ペット禁止だし。』



それからダイキとの出会いを(聞かれてもないけど)におーやさんに話す。



彼は空を眺めたまま、私の話を黙って聞いていた。










「閉じ込められるとか

 に似て頭の良いネコじゃな。」


『うるせーやぃ。』


「ぶさかわなところもそっくり。」


『だまらっしゃい。』


「可愛いって言うとるのにのぅ。」


『"ぶさ"がついてるでしょーが。』



私は眉間に皺を寄せて反論する。





『"ぶさかわ"って、ぶさいくなところが可愛いってことでしょ?

 私はともかくダイキはぶさいくじゃないもん。』



私が胸をはってそう言うと、におーやさんはクックッと笑っていた。





がムキになるポイントはわからんぜよ。」


『えー?そうかなー?』



すごい論理的根拠に基づいてると思うけどなー。





私は視線をにおーやさんから外して、ブルーシートにごろんと寝転んだ。
















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仁王と屋上にいる空気感が好きです。