『あー、やっと終わった。』










予鈴がなると、生徒達も教室へ戻り

保健室内はようやく静かになる。

















038 お仕事終了。















「宇佐美くん、さん。今日もお疲れさまね。」



「ほんと毎回むだに疲れるんすよね。

 じゃ、俺戻りますんで。」


『ほんと疲れましたー。

 てことで私も戻りまーす。

 お疲れさまでーす。』





2人揃って保健室を出る。










最初の頃は別々に戻ってたんだけど・・・





そこまで性格悪いやつでもないってわかったし。





今ではなんとなーくの流れで一緒に帰っている。

教室も隣だしね。















「・・・おい、くそちび。」



2人並んで廊下を歩いていると、隣のうざみが話しかけてくる。





『ん?なに?』


「・・・サイン、貰ってきてくれよ。」


『・・・・・・は?』





『誰の?』って言おうとしたけど・・・今日の話の流れ的に



・・・翼の、だよね?








「だーかーら!翼さんのサイン貰ってくれって頼んでんの!」


『えー。』





あいつ、サインくれとか言ったら調子乗るからやだなー。


調子乗った翼ほどめんどくさいものはないんだよなー。








「いいじゃん。お兄さまなんだろ?」


『んー・・・』





なんか、こいつにただであげるのは癪だな。


ただで動くような軽い女ではないのだよ、私は。(←2回目)








『じゃあ、その"くそちび"ってのやめて普通に呼んでよ。』


「は、じゃあなんて呼べばいいんだよ。」





いやいや、私の呼び方は"くそちび"って選択肢しかないんかーい。


ふざけんなよ、コノヤロー。








『普通に名字呼び捨てでいいけど。』





前も1回(後にも先にもほんとにあの1回だけ)呼んだことあるじゃん。








「いや、それはなんか翼さんのことを呼び捨てしてるみたいでちょっと・・・」


『なにそれ。

 あ、じゃあ下の名前でもいいよ。"さま"とでも呼べば。』


「は?お前ふざけんな。

 お前なんか呼び捨てで充分だよ。」


『えー、こんど翼がこっち来た時に会わせてあげようと思ったのに・・・

 やーめっぴー。』


「え、あ、ちょっ・・・それは・・・」





ふはっ、焦ってる焦ってる。

うけるーv








『なに?呼ぶの、呼ばないの、どっち?』


「・・・・・・さま。


『え?なんて?聞こえなーい。』


「・・・ーーーっ、さま!///」



『ぷっ・・・あはははっ!』





顔を赤くして言ううざみに、私は我慢できなくなって

お腹を抱えて爆笑。



いや、このうざみが私のこと"さま"だって・・・ぷぷっ。





きしょー、さぶいぼー、とりはだー、ばくしょーv










「おまっ、お前が言えっていったんじゃねーか!」


『いや、まさかほんとに言うとは・・・ぷっ・・・ははっ・・・』


「お前・・・まじでうぜぇ。」


『あははははっ・・・いいよ、さまなんてつけなくて。』



いちいち名前呼ばれるたびに鳥肌たってたら

こっちももたないしね。



あー、やべ。笑いすぎて涙出てきた。





「当たり前だ。もう一生呼ばねー。

 やっぱり""で充分だろ。」


『うん、まあそれでいいや。

 しゃーなしだからサインも貰ってあげる。

 じゃーね、"ばかひろ"。』





うざみが下の名前で呼ぶんなら、私も下の名前で呼ばなきゃね。



でも孝裕(たかひろ)って普通に呼びたくもないから

うん、ばかひろでv










「は?ばかひろって・・・」





後ろでなんか言ってるけど、無視無視。













私はばかひろを放置してC組の教室に走って入った。
















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次はあのキャラと出会います。