あ、あの本とか、なんか良さそう。
んーっ!
んーーっ!
んーーーっ!
と、届かない・・・
035 ちびあるある。
私は、さっきからずっと爪先立ちの状態。
あともうちょっとなんだけどなぁ・・・
目をつけた本は、棚の1番上に並んでいて
手を一生懸命伸ばしたら、触ることはできるんだけど
本棚からとりだすことができないでいた。
身長が高くないキミ、(低いわけではない!高くないだけ!ここ重要!)
キミにもこういう経験があるだろう?
こんなときル●ィみたいに手が伸びたらどんだけ便利なことか。
・・・ちょっと試しにやってみようかな?
いや待て、あれって多分大声で"ゴムゴムのー・・・"って言わなきゃいけないんだよね。
こんな静かな空間では私のノミの心臓ではムリだ。(そういう問題?)
よし、こうなったらジャンプするしかないか。
図書館でジャンプとか、ちょっと恥ずかしい気もするけど・・・
そんなことを気にする私ではないはずだ!←
そう思って、軽く膝を曲げて狙いを定めていたら
―――――となりから、スッと腕が伸びて私のお目当ての本をとった。
突然のことに驚いた私は、反射的に体がビクッとなって
隣に立つ人物から距離をとる。
目の前に立っていたのは、長身で・・・おかっぱの男の人。
まあ、その髪型も気になるけど。
それよりも気になるのが・・・
目、開いてんのかな・・・?
「お前が欲しがっていたのはこの本か?」
私が、無言でじーっと見つめていると、
彼が本を私のほうへ渡してくれた。
『あ、はい。ありがとうございます。』
私は、はっと我に返って本を受け取った。
「届かないときは、壁のところに脚立があるから
それを利用するといいだろう。」
『そうなんですか〜。
ご親切にありがとうございます。』
「他にも、なにか困ったことがあれば聞きにくるといい。
しばらくは純文学のコーナーにいる。」
そう言って彼は、すたすたと歩いていってしまった。
めっちゃ優しい人〜。
いかにも本が好きそうな人だったなー。
そう考えながら、私は再び本を物色し始めた。
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よし、こんなもんでいーや。
写真とかも載っててわかりやすそーだし。
私は結局、取ってもらった本ともう1冊別の本を借りることにした。
でもさ、でもさ。
・・・本ってどーやって借りたらいいの?
まあ、きっと返却コーナーの隣とかに貸し出しコーナーってあるから
とりあえず入り口のほうまでいってみようかな。
入り口まできてみると、思っていたとおり貸し出しコーナーはあった。
ひとりの生徒が貸し出して続きをしているのが見える。
ふんふん、普通に本を出して、学生証をピッとあの機械にかざすのか。
なるほどね。
って、ちょっと待てよ・・・
・・・・・・学生証、もってないじゃん。
今日はたまたま財布を忘れてて
お昼代だって真菜子に借りたんだもん。
うわー、ここまで来て借りれないとか最悪ー。
仕方ないからまた今度来よ・・・
手に持った本を、元あった本棚に戻そうと、きびすを返した私の目に
さっきの彼が入った。
あいかわらず目を閉じたままで、こっちに歩いてきている。
手に何冊か本を持っているから、貸し出し手続きをしにきたのだろう。
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本といえばこの方ですよね。