「やはりじゃったか。」
声のしたほうを振り向くと、におーやさんが私のほうを見ていた。
『うん。そちらも、やっぱりにおーやさんでしたか。』
私はなんだか気まずくなって、一生懸命にふざけてごまかす。
だって、ほら。
友だちのキスシーンとか見たら、
なんか気まずいじゃん?
しかも、でぃーぷきっ・・・・・・ごほん、だったし。
ま、そんな私をよそに、におーやさんはいたって冷静だけど。
「ずっと見とったくせに。」
034 ザ・図書館。
『あれ、いつからわかってたの?』
「誰かが歩いて来るなーとは思っとった。
それが、木の陰に隠れるときに一瞬見えたぜよ。」
『まじかー。あんときかー。』
気づかれてたんだー。
てか、知っててキスしたんかい!
「盗み聞きとは、趣味悪いぜよ。」
『いやー。そんなつもり微塵もミジンコほどもなかったしー。
私だって聞きたくなかったしー。
むしろここから離れたかったしー。』
誰が好き好んで友だちのキスシーンなんか見るかっつーの!
いや、におーやさんなら見たい人いっぱいいるのか・・・
『それにしても。
あいかわらずモテモテですね、におーやさんv
キスシーンまで・・・ごちそーさまです。』
「毎回毎回、相手するのがめんどーぜよ。」
『ほんとにみなさんの相手してんだねー。
女の敵ですねー。』
「あいつらは断っても無駄じゃ。」
『まー、確かに。
におーやさんの気持ちフル無視ですもんねー。』
なにも言ってないのにキス、されてたもんね。
「女は自分の思い通りにならんかったら、
すぐぎゃーぎゃー言ってくるから好かん。」
『女の子を目の前にして、
そーゆーこと言っちゃいます?』
「女の子なんかどこにおるんじゃ?」
『こ・こ・で・す!ここ!』
「・・・、お前さん、女じゃったんか・・・?」
『・・・・・・・・・』
この人、本気で言ってんのか冗談で言ってんのか
まじでわかんないんだけど・・・
「そんなことより、こんなところでなにしとったんじゃ?」
そ、そんなこと・・・?
私の性別って"そんなこと"なの・・・?
とは思ったけど。
ここにいた理由を思い出して、たしかにどうでもよくなった。(おい)
『そうそう、図書館に行こうとしてたんだよね。
友だちに本返すように頼まれてて。
んで、におーやさん見かけたから、
図書館の場所聞こうと近づいたら・・・』
「取り込み中じゃった、と。」
『そーゆーことです。』
「なるほどな。」
それから、におーやさんに図書館への行き方を聞いて、
自主練にいくという彼とばいばいした。
うん、方角的にはほとんど合ってたし、
私の推理力も捨てたもんじゃないなv
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おぉ、これが図書館ですか。
まじで図書館だね。
ザ・図書館だね・・・
私は目の前に建つ、大きな建物を見上げる。
レンガ造りの外観は、まさに図書館って感じ。
立派過ぎてとても学校内の施設とは思えない。
だって、ドアも自動だし・・・
校舎からもグラウンドからも少し離れているということもあって
生徒の姿は見当たらなかった。
私はとりあえず本を返そうと思って、図書館の中に入る。
建物内も、ほんとに公立図書館と比べてもなにも劣っていない。
いや、むしろこっちのほうが大きくて、きれいかな。
さすが超マンモス私立高校だねー。
お金が有り余ってるんだねー。
図書館の中にも、生徒の姿がちらほら見えるくらいで
静かで心地よい雰囲気だった。
こんな立派な施設なのに、あんま利用してる人いないんだ。
もったいなー。
でも、こんだけ広かったら良いテーピングの本とかありそうv
私は返却コーナーに行って、頼まれた本の返却手続きを済ませ、
スポーツ本のコーナーに向かうことにした。
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次はあのキャラと出会います。