春の暖かさが、私に眠気とだるさを与え



それと引き換えに、気力と覇気を奪っていく。





THE 無気力。










気がついたらGWが終わってから1週間経っていた。
















032 初めてじゃないおつかい。















「じゃーな、。」


『あ、うん。ジャッカル、また明日ね〜。』



帰りのホームルームが終わって、隣の席のジャッカルが教室からでていく。





今日は部活休みだけど、自主練するんだってさ。


相変わらず好きだねー、テニス。








あー、私は早く帰ってゲームしよ。





そう考えながら帰る仕度をしていたら真菜子が近づいてきた。



ゆっくりゆっくりこちらにきて

上目遣いで、こちらの様子をうかがっている。


手には1冊の本。










―――――こりゃ、完全になんか頼みごとされるね。















ちゃーんv」



真菜子が満面の笑みで私を呼ぶ。





『な、なに?』


その笑顔が怖くて、おそるおそる聞く。


すると真菜子が、手に持った本を私のほうに出した。





「この本、返却期限が今日までなんだけどー・・・」


『うん。』


「体育館と図書館って正反対にあって

 返しに行ってたら部活に遅刻しちゃうんだよねー・・・」


『・・・うん。』


「だからお願いっ!この本代わりに返してきてくれないかな?」



あー、やっぱりそう来たか。

話の途中から、なんとなくはわかってたけども。





「まじでお願いっ!試合近いから、遅れるわけにはいかないの!」





まー、急いで帰らなきゃいけない理由もないし?


行ってあげるけどさ・・・





『オレンジティー1本ねv』



ただで動くような軽い女ではないのだよ、私は。←





「う、わかったよ〜。明日おごるから。」


『やったねv』


「じゃ、まかせた!ありがとね。ばいばい!」





そう言って真菜子は、私に本を渡して教室を飛び出していった。










この前、ひざの筋をけがした生徒さんがいたから、

ついでにテーピングの仕方の本でも見ようかな。










・・・でも、図書館ってどこなんだろ?
















+++++++++++++++++++++++++















立海の図書館は、高等部と中等部が共同なこともあって

普通の高校みたいに1つの部屋ではなくて

1つの建物になっている





―――――てのは、噂で知ってるんだけどさ。










図書館なんて行ったことないからわかんないよ!















まあ、とりあえず建物が違うんだから、と思って

スリッパから外靴にはきかえる。










体育館の反対側って言ってたしー


たぶん図書館って(イメージで)校門とも遠いはずだからー・・・



こっちだな!








私はとりあえず、靴箱から校門とは反対のほうへ歩く。



目指すは中等部の方向。















立海大の中等部と高等部は遊歩道をはさんだ隣にある。



共同図書館っていうくらいだから、きっと中等部に近いとこにあるとみた!










校門へと向かう人の波に逆らって歩く。


校舎の裏までくると、もうほとんど人影はなかった。















図書館どこだろー?



生徒がいないから聞けないし・・・










あ、










ちょっと向こうに見知った人影を見つけた。



スラリとした長身で、銀色の髪が風に揺れている。















におーやさん、はっけーんv



でも裏庭の木のそばにひとりで立って、なにしてるんだろう・・・?















図書館の場所を聞こうと、私はにおーやさんのほうへ歩きだした。
















*************************

いざ、図書館へ。