まだ水やりが残っているという幸村くんを置いて屋上を出た。



駆け足で階段をおりて、靴箱へ向かう。








よし、帰ろーっと。













ちゃーん!」



もうすぐ1階、というところで誰かが私を呼んだ。





その声のもとをたどって、上を見上げると


3階か4階くらいかな?

ブン太くんが手すりから身を乗り出して、下の私のほうを見ていた。







『あ、ブン太くん。』





ちょっと遠いし声は届いてないだろうから、小さく手を振った。





「ちょっと待って!」








そう聞こえてから、ブン太くんが見えなくなって、


足音がどんどん近づいてくるから、こっちに下りて来てるんだろう。
















030 一緒に帰ろう。















ちゃん、今帰るとこ?」



ようやくブン太くんの姿が見えて。


私のほうまで、階段を駆け下りながら言った。





『うん、そうだよ。』


「マジ?じゃあ、一緒に帰んない?」


『あ、うん。いいよ。』



私は、にっこり笑って承諾した。





いつもひとりで帰るの寂しかったんだよねー。


ブン太くんと帰るのとか楽しそうだし。








「良かった///

 じゃ、帰ろーぜ。」


『うん。』





そして、2人で靴をはきかえて校門へ向かう。















ちゃんって、家どっち?」


『校門でて左のほうだよ〜。』


「おっけー。家はどのへん?」


『んーっと・・・・・・』








いつもはひとりで歩く帰り道を

今日はブン太くんと2人並んで歩く。




















『今日って、ミーティングだったんだよね。

 お疲れさま〜。』


「あれ、なんで知ってんの?」


『さっき、におーやさんに会ったからそのとき聞いたの。』


「におーやさん・・・って仁王か?」


『あ、うん。仁王くん。』



「いつのまに仁王と知り合いになってんだよ・・・あいつ、そんなこと一言も・・・」







ブン太くんが小声でなんか言ってたけど、よく聞き取れない。





私が不思議そうな顔を向けていると、



それに気づいたのか、ブン太くんが「いや、なんでもねー。」と苦笑いした。















「てか、ちゃんって部活とか入ってねーよな?

 こんな時間まで何してたんだ?」


『それがさー。居残りで課題やってたんだよね。』


「あー、なるほど。」


『やろうとはしたんだよ。したんだけどね。

 数学とか、ほんとできないしー・・・』


「だよなー。俺も、数学とか大の苦手。

 居残り避けるために今日は朝からジャッカルのノート借りて

 授業中ずーっと写してたし。」


『えー、知ってたなら言ってよー。』


「悪ぃ悪ぃ。」



ブン太くんは両手を顔の前で合わせて、ごめんのポーズ。


でも顔は笑ってるし、ウインク付きだから

全く謝る気ないな、こいつ。





でも、こういうポーズが似合う男子高校生ってブン太くんくらいだよね。



世のお姉さま方とか、こんなんされたら怒れないって。


イケメンって得だねー、ほんと。















『今日はなんか頭使いすぎてお腹空いたなー。』


「俺もー。甘いもん食いてぇー。」


『あー、いいねーそれ。私も甘いもの食べたーい。』



「あ、だったらさ。

 この道をこのまままっすぐ行ったら、うまいクレープ屋があるんだけど。

 良かったら行かねぇ?

 居残りのこと教えなかったおわびに奢るぜ。」


『ほんと!?行く行く〜v』







一仕事終わった後のスイーツとか最高v

ブン太くんの教えてくれる店、いっつも美味しいから

今回も、かなーり期待大!















私はブン太くんの隣で、スキップしたい気持ちを抑えながら



イチゴ・・・チョコ・・・あー、何味にしよう・・・





なんて考えていた。
















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ブン太くん好きですv