彼女を保健室に連れて行って、無理やり消毒をした。
(これでも一応、保健委員なもんで。)
今回の足の怪我のほかにも、
いろんなところに青あざなんかが見えたりして。
お互い無言で、何を聞くこともなかったけど。
聞かなくてもわかる。
あー、いわゆる"いじめ"ってやつですか・・・
消毒をして、簡単に大き目のバンソーコーをつける。
ほんとはガーゼとかを巻きたかったけど、
取り出したら、すごい嫌そーな顔されたから。
ま、バンソーコーでいいかなって。
治療(って言ったら大げさだけど)が終わると、
彼女は小さな声で「ありがと。」と言って、保健室を足早に出ていった。
彼女がでていったあと、私も救急箱をしまって保健室をでた。
あー、幸村くんどこだろ・・・
028 幸村を探せ。
とりあえず教室に戻ってかばんをとった
・・・までは良かったんだけど。
部活ないってことは、もう帰ったんじゃね?
それって本格的にやばくね?
あー、まじどーしよ・・・
とりあえず靴箱行って、まだ学校にいるかどうかを確認するべきか・・・
教室の前で途方に暮れてたら。
いきなりB組の教室のドアが開いて見知った人物がでてきた。
『あ、におーやさん。』
出てきたのは、におーやさんだった。
「か。こんな時間までなにしとったんじゃ?」
『んー、居残りしてた。』
「課題やってなかったんか?」
『いや、やろーとはした!でも、できなかったんだって!』
「ほぅ。さすが"頭の良い外部生"さんじゃな。」
『そりゃ、どーも。』
におーやさんがクックッって笑ってる。
いや、まじで大変だったんだからね!
答え写すのが!←
におーやさんも帰るみたいだったから、
2人並んで階段に向かって歩く。
『でも、におーやさんもこの時間までいたってことは・・・
課題やってたんじゃないのー?』
このっ、このー!
って感じでにおーやさんをひじ打ちしようとしたら
「一緒にするんじゃない。」ってさらっと避けられた。
「今までミーティングで、かばん取りに来ただけぜよ。」
『ちぇー、仲間じゃないんだ。』
サボり仲間だし、と思ったんだけどなー。
たしかに頭は良さそうだな、悔しいけど。
てか、ミーティングだったからコートに誰もいなかったのね。
なっとくー。
・・・ん?
ミーティングってことは・・・
幸村くん、まだ学校にいるんじゃね!?
『におーやさん!幸村くん、いまどこにいるか知ってる!?』
「幸村になんか用なんか?」
『それがさー、課題持って職員室いったときに先生に
これ渡してくれって頼まれちゃってさー。』
手に持ったプリントをひらひらさせる。
―――あ、なんかぐちゃぐちゃになってるわ。
ま、気にしない気にしない。
「そういうことか。
幸村ならたしか、屋上庭園にいくって言ってたぜよ。」
『まじ!?ちょっと行ってくる!』
階段の目の前まで歩いて来ていたので、
『じゃーねっ、におーやさん!』と言って、階段を駆け上がった
・・・ら。
「。」
後ろから静かに呼び止められた。
『ん?なに?』
「屋上庭園は、となりの校舎の屋上ぜよ。」
『・・・・・・』
・・・そーいえば、そーだったね。
私は無言で、ゆっくりにおーやさんの隣まで戻る。
そして、にっこり笑って。
『じゃーねっ、におーやさん!パート2!』
目の前の階段をダッシュで駆け下りた。
幸村くん、まだいるかなー・・・
************************
仁王くんでした。