ま、まじかよ・・・



幸村くんと"ユイカちゃん"に会いに

テニスコートまで来た私。








ですが・・・・・・




















誰もいないんですけどーーー!?















027 女の怖さ。















なん、だと・・・?








今日ってテニス部、お休みなのかな・・・





うわー、まじで困った!










テニスコートのまわりをとりあえず一周。



あー、どっかに幸村くん落ちてないかな。←















―――――ん?





なんか話し声が聞こえた・・・?










声のしたほうを見ると、コートのそばに小さな建物があった。


おそらくテニス部の部室だろう。








あ、もしかしてもしかすると幸村くんがいたりしないかな?





そんな希望を持って、部室へと近づく。



部室の目の前まで来ると、中で誰かが話しているのが聞こえた。













「・・・さん、ほんとに邪魔なんだよね。調子乗らないで。」


「きゃっ―――」

ガタンッ

バンッ



「早く消えてよ。」











・・・なーんか、やばい雰囲気。





どう考えても幸村くんじゃない。


女の子の声だし。










―――やばっ。





中の足音がどんどん近づいてくる。



誰かが出てくるみたいだ。















ドアの前につっ立っていた私は、反射的に建物の陰に隠れた。








ガチャッ―――――バタン








足音から考えると、出て行ったのは一人みたい。










その足音がだいぶ小さくなったので、こっそりと顔を出す。



少し遠くに、女の人の後ろ姿が見えた。










マネージャーの人、だよね・・・?

部室から出てきたし。





あー、なんか見ちゃいけないとこに遭遇しちゃった感じ。



幸村くんもいなそうだし。

早くここから離れよーっと。










私は建物の影から出て、校舎に向かおうとした。



うん。とりあえず、教室にかばん取りにいこ。










そう思って、部室の前を横切った瞬間。

ドアが開いて、女の人がでてきた。





私はびっくりして、彼女のほうを見る。


彼女も驚いた様子でこっちを見たため、自然と目が合った。








私は、さっき話を盗み聞きした後ろめたさもあって、

視線をすぐにそらす


―――と、彼女の足から血がでているのが目に入った。










これって・・・さっきすごい音したときの・・・?





彼女は、私が足の怪我を見ているのに気づいたのか、

それを隠すようにかばんを足の前に持った。







そして、私に軽く会釈をして歩き出す。










けっこうひどい怪我、だったよね。

ちょっと歩き方もおかしいし・・・










『あ、あのー!』



気がついたら。

少し前を歩く彼女を呼び止めていた。





「・・・?」


彼女は、私のほうを振り返って不思議そうな表情をしている。





『あの・・・ちょっとついてきてもらっていいですか?』










私は完全に混乱しきっている彼女の手を無理やり引いて、保健室に向かった。
















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やっぱり放っとけない。