東京から神奈川へ帰る電車の中。
比較的乗客も少なくて、車両内は静かな雰囲気。
ガタンゴトンという心地よい音。
窓から差し込む夕陽のやわらかな光。
隣に座るちゃんは、
朝から歩き回ったことによる疲れも手伝って、うとうとしてる。
右肩にかかるすこしの重み。
ふと見ると、ちゃんの頭が、俺の肩にもたれかかっていた。
すーすーと聞こえる可愛らしい寝息。
俺は思わず口元がゆるむのを感じた。
024.5 買い物デート。by千石
寝顔がよく見れないのが惜しいなぁー。
なんて考えながら。
今日のことを思い出す。
楽しそうに学校でのことを話すちゃんの顔。
その笑顔を見ていると、こっちも笑顔になっちゃう、
けど・・・―――――
これほど学校が違うということに
もどかしさを感じたことはなかった。
学校が同じだったら、自然に毎日会える。
クラスが一緒だったら、1日中一緒にいられる。
少し前までは、出会えたことがラッキーって気持ちでいっぱいだったけど。
仲良くなるにつれて。
距離が縮まるにつれて。
―――好きになるにつれて。
ずっと一緒にいたいという欲張りがでてきてしまった。
それに、ちゃんから出てきた男の名前。
しかも、それが知ってる人だったから。
想像ができてしまって不安になる。
幸村くんは気に入った子には積極的にいきそうだし。
仁王くんや丸井くんは女癖が悪いって聞く。
特に仁王くんは相当悪いらしいけど、大丈夫かな・・・?
彼らがちゃんのことをどう思ってるかなんてわからない。
けど。
不安になるのはしょうがないし。
いやーな予感がする。
そんでもって、俺のこういう予感は、当たる。
俺のほうが先に出会ったのに・・・
俺よりも、彼らと過ごす時間のほうがどんどん増えていって。
ちゃんの中では、彼らの存在のほうが大きくなっちゃうのかな・・・・・・?
《次はー、神奈川。神奈川です。》
静かな車内にアナウンスがひびく。
けっこう長い間、考えごとをしちゃってたみたいだね。
もう、着いちゃうんだ・・・
隣で気持ちよさそうに寝ているちゃんを優しく起こす。
「ちゃーん、そろそろ着くよ。」
『・・・んー?
・・・・・・―――はっ!寝てた!?
ごめん、もたれてたね。重たかったよね。』
急に軽くなった右肩に少しさびしさを感じたけど。
『よだれ、たれてなかった?』と必死に聞いてくるちゃんをみて
自然を笑いがこみ上げてきた。
「よだれは大丈夫だったけど。白目むいてたよv」
『ま、まじか!?』
「あはは、冗談だけどねv」
『もーぅ。』
ぷぅーっとほほを膨らませるちゃん。
あぁ、ほんとに可愛い///
電車が駅に到着し、2人で電車を降りる。
それから、彼女をマンションまで送ってばいばい。
あー、今日はほんとに楽しかったなv
ちゃんといると、なんでこんなに楽しいんだろう?
ま、答えはわかりきってるんだけどね。
ちゃん、だから・・・
ちゃんとだからこんなに楽しいんだよね。
ちゃんとだから、
心の底から笑えるし、
自然体でいられるし、
落ち着くんだけど・・・
―――――ドキドキもする。
立海大でちゃんに惚れてる人が何人いるか知らないけど。
・・・なんか、たくさんいそうな気がするけど。
誰にも負けるつもりはない。
ぜーったいに、ちゃんを惚れさせてみせるからねv
覚悟しといてよ、ちゃんv
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帰り道でした。