『よし、だいぶ出来るようになってきたかな。』





ほほをつたって落ちる汗を、手の甲でぬぐいながら空を見上げた。


明るかった空も、もう夕焼けと夜のあいだ。





あ、1番星みーっけ。
















023 未来のスター。















「うん!ありがとう!あとはひとりで練習してみる!」





あれからみっちり2時間、テツヤの練習に付き合ってあげていた。



おかげで、シュートフォームはだいぶいい感じになってきたし。


あと飛距離は筋力の問題。








「どうやったら、早く届くようになるかなぁ?」


『んー、私、筋トレとか基本やらないんだけど、

 このときだけは、500mlのペットボトルをひらすら上下させる筋トレやってたかな。』


「あ、それなら家でもできそう!」


『ま、あとは練習あるのみだよv』


「うん!ありがとう!」





テツヤとばいばいして、バスケコートを離れた。



背後にボールとゴールリングのぶつかる音を聞きながら、公園の出口に向かって歩く。















少し強く吹く風が、ほてった体を冷やしていく。


にぎやかだった公園は、いつのまにか静かになっていた。


公園の中を横ぎる広い道をひとり歩く。





んー、いい汗かいたv




















少し歩いてから、もう1度コートのほうを振り返った。



テツヤは休むことなく練習を続けている。





真剣なまなざし。


でも、その瞳の奥には

"楽しくてたまらない"という気持ちが輝いている。




















―――――ズキッ










左腕がうずく。





反射的にその腕を、右腕でつかんだ。





















「アンタがバスケやってるときの楽しそうな顔が1番ムカつくのよ。」




















少し前の記憶がよみがえる。








自然と左腕をつかんでいる右腕には力が入っていた。















バスケ、か・・・・・・















左腕が痛む。



使いすぎだけが原因じゃないことはわかってる。








嫌なことも思い出してしまうけど・・・



でもあんな楽しそうな顔見ると、やっぱり応援したくなる。








なんだか、昔の自分に似てる気がして










―――――ほっとけない。




















もうこの左腕じゃ、バスケはできないけど。


























未来のエースに賭けてみた。















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シリアス、だけど明るく。