GWも、もう折り返し地点。



バイトして、バイトして、真菜子とショッピングして、バイトして・・・





まーそんな感じで過ごしてます。










かくいう今も、バイトからの帰り道。





ダイキにご飯もあげたし。


いつものように公園の横を通ってマンションへ向かう。
















022 1日コーチ。















公園は、まだ夕方ということもあって、とてもにぎやか。





親子連れが遊具で遊んでいたり。

お年寄りの夫婦が散歩してたり。

学生グループが走り回っていたり。








そんな中、私は足を止めてバスケコートに目を向ける。




















今日はテツヤ、ひとりでシュート練習か・・・








ゴールデンウィークに入ってからは、友だちと一緒だったことが多いけど

今日は、ひとりでひらすらシュートを打っている。





昨日まではボスシュート(両手で打つシュート)だったのに。


今日はワンハンドシュート(片手で打つシュート)の練習してる・・・










今日はまだ時間が早いし。

ちょっと見ていこうかなv





私は止まっていた足を、バスケコートに向かって動かす。















コートを囲むフェンスの前まできて、

邪魔にならないようにテツヤの背中側に立つ。



彼の視界に入らないところで見学。















うーん、さっきからボールがゴールに届いてない。



確かに、今までの両手ぶんの力を片手で出さなきゃいけないわけだから、

筋力がないテツヤには厳しそう。















あー・・・届かないねー。








あー・・・頑張れー。








あー・・・・・・








あー・・・・・・・・・










これは、今のままじゃ入らないね。




















『腕の力で飛ばそうとしすぎ。』



テツヤがシュートを打った瞬間、彼の背中から声をかける。





突然聞こえた声に驚いて、はっとした顔で後ろの私のほうを見る。



「あ、ちゃん・・・」





テツヤの打ったシュートは、ゴールリングに触れることなく、

低い弧を描いて、地面に落ちる。










『確かに、ワンハンドだと最初は飛距離がでないけど。

 飛ばないのは、下半身の力がうまく伝わってないからだよ。』



「下半身の、力・・・?」


『そー。』



私は、フェンスの外から入り口のところまでまわって、コートの中に入る。








『ワンハンドシュート、練習してんの?』


「うん。もう4年生になったから、監督に

 ワンハンドで打てるようになれって言われたんだ。」


『なるほどね〜。』





確かに、ワンハンドシュートのほうが両手で打つときより、

シュートを打つ高さが高くなって、ディフェンスされにくいし。


片手でボールをあつかうから、シュートも安定するしね。


男子は小学校高学年くらいになると、ほとんどワンハンドシュート打つから

確かにそろそろ練習する時期かも。








「でも、なかなかうまく行かなくて・・・全然ゴールに届かないんだ。」


『んー、そっかー・・・』





私は、さっきテツヤが打ったまま、ゴール付近に転がっているボールを拾う。


















久しぶりに感じる、バスケットボールの感触。



あー、なんだかうずうずしてくる。





・・・やってもいいかな?



舞沢先生にも、完治したって言われたし。


ちょっとくらい、やってもいいよね!












ボールの感触を確かめるようにドリブルをしながら、テツヤのところに向かう。



そして、彼の隣に立つと、ゴールのほうを向いてボールを持つ。





『最終的には、頭の上からシュートを打つんだけど。

 それは胸の前で打てるようになってからね。』


「うん。」








『足は基本肩幅くらいに開く。


 でも、これは自分が打ちやすいように調整していけばいいと思う。

 ちなみに、私はボスシュートのときより気持ち広め。


 そんで、シュートを打つ手と同じほうの足を半歩前に出す。



 ひざは軽くまげて、やわらかく動かす。これが1番大事。



 ボールを構えたら、指先だけでボールを持つ。

 手のひらはボールにつけないのがポイントね。



 シュートを打つときは、ひざを曲げた状態から、真上にぐっと飛び上がる。

 このとき上半身に力を入れすぎないで、

 ひざから力がつたわってくるのを感じながら、

 身体の中心にまっすぐな一本の棒があって、それに沿ってとびあがるイメージ。



 腕は真上に伸ばすイメージをもちながら、まっすぐ手首をかえす。


 シュートを打たないほうの手は添えるだけ―――――』





説明しながら、頭の上で、左手のワンハンドシュートを打つ。







私の手を離れたボールは、きれいな弧を描いて、

ゴールリングに触れることなくスポッという音をたててゴールネットを揺らした。










んー、気持ちいい。


我ながら、ナイシューv(ナイスシュート)















「す、すごい・・・!

 ちゃん女子なのにワンハンド打てるの?」


『まあね〜。けっこう苦労したけど。』


「そっかー・・・」



私は、ゴール下に転がっているボールを取って、テツヤに投げる。





『ほら、やってみ?』


「うん。えーっと・・・」



私がさっき言ったことを繰り返しながら、テツヤがシュートフォームに入る。





彼がゆっくり打ったボールはゴールリングに当たって、跳ね返った。







「あ、リングまでいった・・・!」

『うん、さっきよりは全然いい感じv』

「もう1回やるから見てて!」

『はいはーい。』





さっきまで、少し追い詰めたような顔してたけど。

いい顔になってきたなv
















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テツヤの名前の由来はあの彼です。