、委員会なんか入るの?」



お昼ごはんを食べ終わって、私は真菜子と2人で教室に帰ってきている。


ゆきネエとれいちゃんとは、なんか寄るところがあるらしくて、食堂でわかれていた。





私は自分の席に座って、真菜子は私の左隣に座っていた。


真菜子の席じゃないんだけどね。

たしか、色黒でスキンヘッドの彼の席だから。


まあでも、真菜子には誰の席だろーと関係なさそう。










008 はにかみ王子。








『んー、まだ決めてない。』



黒板に書かれた、委員会名一覧を見ながら、頬杖をつく。








委員会の数的に、全員が入らなきゃいけないわけじゃないんだよなー。

めんどくさいの嫌だしー。





私のクラスでは、学級委員長だけ立候補で決める。

その後に、委員長以外のクラス全員はどれかに立候補しなきゃいけなくて、自分の名前と希望委員会名を書いて提出する。

立候補者が複数いたら、じゃんけんかなんかで決める。

立候補者が1人だったら、即決定。

人気そーなやつに立候補して、人に譲れたら1番だけど。

譲ったあとに、めんどくさい委員会押し付けられたらいやだし・・・



・・・なんで委員会決めんのにこんな駆け引きしてんだろ。










「あ、でも、美化委員はやめといた方がいいよ。」


うーん、と考えこむ私に、真菜子が言った。


『え?なんで?』

「幸村くん、あ、わかるかな?」

『あ、うん。今朝話しかけてくれた男の子だよね。』

「うん、そうそう。

 その幸村くんがが毎年入るからさー、すごい競争率なのよ。」

『へー、そうなんだ〜』


幸村くん美化委員なんだ。

なんか、わかるかも。


てか、幸村くんがやるから美化委員が人気って・・・



幸村パワー恐るべし!



まあ、委員会が一緒だったら絶対話す機会増えるし、必然的に幸村くんと仲良くなれるもんね〜

さすが、乙女心ってやつねv






「あ、体育委員はやめてね!あたしがやるからv」

『だいじょーぶ。候補に入ってないよ。』



まー、図書委員か保健委員なら、やってもいいかな?

どっちも夏は涼しくて冬はあったかい部屋で過ごせるから。










「おい、風宮。

 そこ俺の席だし。座りてーんだけど。」



いきなり私達の後ろから、男の子の声がした。


言ってる内容的に、私の隣の席(いまは真菜子の席)の男の子が帰ってきたんだろーな。

自然と声のしたほうに目を向けると、やっぱりあの男の子だった。



色黒でスキンヘッド。

絶対ハーフだ。

でも、なんか怖い感じはしない。

むしろ優しそうな感じ?





「おー、ジャッカル!ごめん、もうしばらく貸しててv」

「ったく。お前なー。」



無意識にジャッカルくんをずっと見ていたら、その視線に気づいたのか彼もこっちを向いた。

目が合ったから、にこっと笑っといた。



「・・・っ///」


そしたら、ジャッカルくんに思いっきり目をそらされた。

顔が赤いよーな・・・いや、黒いか。←


真菜子を見たら、ジャッカルを見てにやにやしていた。





『ジャッカルくん?・・・で、いいのかな?

 隣の席の です!

 よろしくね〜v』


隣の席だしv

良い人そうだしv

動物のジャッカル好きだしv(関係ない)

仲良くなりたい!


「お、おう///

 俺はジャッカル桑原。

 みんなからはジャッカルって言われてるから、呼び捨てでいいぞ///」





私、気づいちゃった。



ジャッカル(さっそく呼び捨て)、はにかみ王子だ。


やっぱハーフってかっこいいな。





「なーに照れてんのよ、きもいよ。」


真菜子がジャッカルの背中をばしっとたたく。

ジャッカルくんは、「痛ぇ!」と言いながらよろけていた。

それを見た真菜子が「弱っちぃな〜。」と、また背中をばしばしたたく。

「お前、それが人にイス借りてる態度かよ。」


そう言ってジャッカルは、自分の席の机に座った。





やべー、ジャッカル真菜子(売れないモデルみたい)のやりとり、めっちゃおもれー。








『てか、委員長って誰がやるのかな?』


私は目の前の2人に聞いてみた。


委員長が決まんないと、次にいけないよね?

立候補しそうな人いるのかな・・・?





「あー、それなら立候補するよ。ジャッカルが。」

「俺かよ!」

『ぷっ、』


やば、めっちゃおもしろい。

思わず吹き出しちゃったよ。

なにこれ、漫才?


『あははははっ!』


もう、我慢できなくて爆笑。


私につられて真菜子やジャッカルも笑っていた。








「そういえば、は委員会どうすんだ?」


ジャッカルが私に話しかけてきた。


『保健委員にしよっかな〜って思ってるけど・・・

 大変かな?』

「うーん、どうだろ?

 当番の日にはいかなきゃいけないとは思うけどね。」

「ま、そんなに大変な委員会ではねーと思うぜ?」

『そっかー。

 うん、他に良いのないし。保健委員にしよ。』


ま、適当にやっとけばいっか。



「お前は、今年も体育委員にすんの?」


ジャッカルが真菜子に聞く。


「うんvもちろん!」

「大変なのによくやるな〜。」

「まあね〜、大変だけど楽しいし♪」


あ、チャンス!


『ま、仕事大変そうだったら手伝うよ。ジャッカルが。』

「お、俺かよ!///」


あははははv

やった〜!私も使えたv(達成感)

いやー、言ってみたかったんだよねv

そして"俺かよ!"言われてみたかったv



3人で笑っていたら、予鈴が鳴った。


真菜子はそれを聞くと「あ、やべ。トイレ行ってくる!」と言って、廊下に走っていった。








『ジャッカルは、なんの委員会にすんの?』


真菜子から返されたたイスに、やっと座れたジャッカルに聞いてみた。


「俺は生物委員にするぜ。中学のときからずっとやってるし。」

『生物委員?いきものがかりみたいな?』

「あ?まぁ、そんな感じだな。」



好きなんだ〜、生き物。

そりゃ、そーだよね。ジャッカルって名前だもんね。

好きなんだね〜、いきものがかり。

そりゃ、そーだよね。良い曲多いもんね。(思い込み)





『誕生日には"いきものがかり"のCDあげるねv』

「お、おぅ?///」


ジャッカルの頭の上に?マークが見えたけど、気にしない気にしない。(気にしろ)



あ、そういえばロッカーに筆箱いれたままだ。

次の時間要るよね。



『ジャッカルー、ちょっとロッカーいってくる。』

「あぁ、もう本鈴鳴るから急げよー。」

『あいあいさー。』


個人のロッカーは廊下にあるから、少し急ぎめで行った。


予鈴がもう鳴っているせいか、廊下には何人かしかいない。



でもその中にひとつ、知っている後ろ姿があった。

彼もちょうど振り返ったため、目が合う。





「あ、さん。」

『幸村くん。』


私は自分のロッカーに向かいながら、幸村くんに笑顔を向けた。



さんは、もうなんの委員会にするか決めたの?」


幸村くんが私のとなりに来て話しかけてきた。


『んー、保健委員にしようかな〜って思ってるよ。』



あ、そういえば。


『聞いたよー。

 幸村くんは美化委員にするんだよね?

 おかげで美化委員が女子に人気らしいじゃん!

 モテるんだねー。』


私がそういうと、幸村くんは「そんなことないよ。」と困ったように笑った。



さんが保健委員にするなら、俺も保健委員にしようかな。」


へぇー、幸村くんが保健委員に・・・


って、え?


さんと同じ委員会になりたいしね。」


幸村くんは、そう言ってきれいに微笑む。



幸村くん、その笑顔と殺し文句は多用しちゃだめだよ・・・

私じゃなかったら、"幸村くんって私のこと好きなのかも!?"って勘違いしてるって。



そのあと幸村くんと少し話をしてたら、すぐに本鈴が鳴って、私たちはそれぞれ自分の席に戻っていった。















+++++++++++++++++++++++++







時は少しさかのぼって―――





入学式は今日だってのに、朝一からすでに可愛いと有名だった外部生。


同じクラスで、偶然にも席が隣。

入学式前の何分間かのホームルームのときにちらっと見ただけだから、あんまし見てねーけど、確かに可愛いとは思った。


ま、でも、大事なのは中身だしな。





丸「なあ、噂の子、見た?」


入学式が終わって、ブン太のクラスで昼飯を食べていた。


ジ「あー、隣の席だよ。」

丸「えっ、お前まじかよ。

  ジャッカルのくせに、うらやましー!

  なあ、やっぱ、そーとー可愛かった?」

ジ「可愛いんじゃね?あんま見てねーけど。」

丸「見てねーのかよ!ほんと、使えねーな!」

ジ「使えねーって、お前なぁ・・・」


初対面でそんなに顔、じろじろ見えねーだろ・・・


いや、ブン太ならやりそーだな。





丸「まあ、いーや。あとで直接見に行くし。」


こいつ、ほんとに女好きだな・・・

この前までバスでめちゃくちゃ可愛いやつに会ったとかで、ぎゃーぎゃー言ってたのに。

もう次かよ・・・










昼飯を食べ終わって教室に帰ってくると、中学のとき同じクラスだった風宮が、俺の席に座って、その噂の外部生と話していた。



「おい、風宮。

 そこ俺の席だし。座りてーんだけど。」

「おー、ジャッカル!ごめん、もうしばらく貸しててv」

「ったく。お前なー。」



隣からふと視線を感じて、そっちを見ると外部生と目が合った。

そしたら、その子がにこっと笑ってきた。



「・・・っ///」


やべっ。思わず目、そらしちまった・・・///

いや、でもあの笑顔は反則だろ・・・///


可愛いすぎ///

俺、今ぜってー顔赤いわ///





「なーに照れてんのよ、きもいよ。」


俺とが自己紹介し合っていると、それを見ていた風宮が背中をたたいてきた。

「痛ぇ!」と言いながらよろけたら「弱っちぃな〜。」と、また背中をばしばしたたいてくるし。

まったく・・・


「お前、それが人にイス借りてる態度かよ。」


イスはしょうがねぇから風宮に譲って、机に座った。

は俺と風宮のやりとりをケタケタ笑いながら聞いてる。


よく笑うやつ。

こんな楽しそうな顔、なんか子供みてぇだな・・・








『てか、委員長って誰がやるのかな?』

「あー、それなら立候補するよ。ジャッカルが。」

「俺かよ!」

『ぷっ、あははははっ!』


の質問に風宮が答えた。

それにいつものノリでつっこんだら、がまた爆笑していた。





の笑顔につられて、風宮も俺も自然に笑っていた。

の笑った顔見てると、こっちまで笑顔になる。



こいつの笑顔、いいな―――///








「お前は、今年も体育委員にすんの?」


俺は、赤くなった顔を見られないように、風宮のほうを向いた。


「うんvもちろん!」

「大変なのによくやるな〜。」

「まあね〜、大変だけど楽しいし♪」

『ま、仕事大変そうだったら手伝うよ、ジャッカルがv』



「お、俺かよ!///」


その笑顔、まじ反則・・・///

どや顔とか可愛すぎだから///










そのあと、予鈴が鳴って風宮がトイレにいったから、俺たちは2人きりになった。



『ジャッカルは、なんの委員会にすんの?』


ようやく自分のイスに座れた俺に、が話しかけてきた。


「俺は生物委員にするぜ。

 中学のときからずっとやってるし。」

『生物委員?いきものがかりみたいな?』

「あ?まぁ、そんな感じだな。」





『誕生日には"いきものがかり"のCDあげるねv』

「お、おぅ?///」



なぜにいきものがかり?とは思ったけど、誕生日にからプレゼントがもらえると思うと嬉しかったし、それ以上はなにも聞かなかった。















がロッカーになにか取りに行ったあと俺は、


、保健委員にするって言ってたな・・・

俺も保健委員にしようかな・・・

いや、でもに生物委員にするって言っちまったからむりか・・・



と、本鈴が鳴るまでひとりで真剣に悩んでいた。















*************************

かなり長くなってしまった・・・

ジャッカル登場v
彼も同じクラスで席もとなりv