んー、だいぶ片付け終わったな。

よく頑張ったぞ、私v







今日は朝からずっと部屋の片付けを頑張っていた。


それもだいぶ終わったし。

いまは―――げ、もう4時!?

3時のおやつ食べ損ねたな・・・








―――――ん?この紙なんだろ?








・・・・・・あ、やば。










004 バスでおでかけ。








バスまだかなぁー・・・





さっきから私は、バス停のベンチに浅く座って足を伸ばし、前かがみになってバスが来るであろう方向にボーっと視線を送ってる。



そしてときどき、パーカーのポケットにつっこまれている右手を出して、腕時計を見る。





―――さっきからずっとこれの繰り返し。










私はいま、市役所にむかっている。


片付けに疲れてひと休みしていたときに、ふと視界に入った白い紙。

―――――住所変更届(しかも、ご丁寧に本日締め切り)。





気づいたときは、もう4時で。

市役所ってたしか5時すぎにはしまるよな〜


って、やばいじゃん!!!


しかも、市役所の場所わかんなくて調べたら、マンションからけっこう離れてる。

だからバスで行かなきゃいけないんだよね。










あ、きたきた。


遠くからバスがやってくるのが見えたので、横に置いていたかばんを肩にかける。





バスがだいぶ近づいてきたとき、私はベンチから立った。

よし、この時間ならギリギリ間に合うかな。良かった。


何気なくバスの方向を見ていると、遠くから男の人がこっちのほうへ走ってきているのが見えた。





うわー、すげぇ勢い・・・

てか、髪赤いんだけど!?



その男の人は人ごみをスイスイすすみ、すごい勢いでどんどん近づいてくる。





少しずつ近くなってみるとその男の人は私と変らないくらいの少年であることが分かった。

少年は自分の前をいくバスのほうをチラチラ見ながら、なおも必死で走っている。





『バス、乗りたいのかな・・・』


そうつぶやいた私の前には、もうバスが到着しようとしている。


赤い髪の少年はまだ少し遠くにいた。





このままじゃ、いくら少年の足が速くても間に合わないよね・・・

んー・・・





私はバスと少年を交互に見た。



そんな私にはおかまいなしに、バスが目の前に停車し、自動ドアが開いた。








うー、ほんとにあの人、間に合わないじゃん・・・

困るだろうなー

このバス、本数少なくて次は1時間後だし・・・


頑張れ!赤髪くん!!



チラッと少年のほうを見て、バスのステップに左足をかける。



まだ、けっこう遠くにいるな・・・


ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・








えいっ。





私はポケットに入れていた左手を勢いよく出した。


するとポケットからするっとなにかが落ち、ザザーッという音とともになにかが道路に散らばった。





それに気づいた私はすばやくバス内に顔をのぞかせ、運転手に『すみません、ちょっと待って下さい!』と声をかけた。


そして再びバスをおりて、さっき落とした財布を拾い、あたりに散らばったカード類をしゃがみこんで集めていた。








あ、やばやば!

ポケモンシールもばらまいちゃったし!


きのうポケモンパン食べてブースターのシール出たから大事にとってたんだよね〜。

あ、ブースターって名前的にブスっぽいじゃん?

でも実際めっちゃ可愛いんだよ!

なんてったってイーブイの進化系だからねv


あとは、やっぱツタージャのシール欲しいな〜。

ソーナンスとか無駄に7枚くらいあるし・・・

あ、ソーナンスってみんな弱そうなイメージあるっしょ?

でも実際めっちゃHP高いからね!←


でも、やっぱり私はライチュウさん推しv


早く家に帰ってDSでポケモンしたいわ〜



って、持ってくれば良かったんじゃん!

バスとかポケモンする絶好の場所だったのに!





・・・って、早くカード拾お。(わからなかった人すみません。)















すべて拾って立ち上がると、後ろでハァハァという荒い息遣いがきこえ、振り返った。



そこにはさきほどの赤髪の少年が膝に手をつきながら肩で息をしていた。

うつむいていたため顔はよく見えないが、少し汗でぬれた前髪のすき間からのぞく顔立ちは整っているように見える。



少年は私からの視線を感じたのか、ゆっくり顔を上げ、目がばっちり合った。





わ、めっちゃイケメン・・・///



パッチリしている目や、整っていない呼吸のせいで少し開いた唇が可愛らしく、人懐こい印象を持たせる。

整った顔立ちに加え、少し汗でぬれた前髪がいっそう爽やかさをひきたてていた。










わっ、やば。

一瞬、見とれちゃってたよ。

バスを待たせてるんだった。





そして急いでバスに乗りこみ、運転手や他の乗客に会釈をした。





乗客があまりいなかったため、席はがらがらだった。



どこに座ろうかな〜・・・ん?


バス内を見まわすと、先ほどの少年がまだ乗り込んでないことに気づいた。



このバスに乗りたかったんじゃないのかな?・・・



不思議に思って、乗車口の外を見た。

少年は乗車口の前でさっきから一歩も動いていないようすで固まっている。


先ほどまで走っていたせいか顔が少し赤く見える。





『あのー、乗らないんですか?』


車内からそう声をかけると、少年はハッとして「あぁ、乗るぜ///」と言って急いでバスに足をかけた。



私はそれを確認すると、バスの最後部の窓際の座席に向かった。





やっぱ、バスは最後部に限るよねv

ほら、修学旅行とかでも取り合いだったじゃん!?

だって他のとこは2人席だから2人でしか盛り上がれないけど、ここなら5人で並べる!

5人だったらトランプとかもできるし盛り上がり放題v


・・・ま、今はひとりなんですけどね。←








私が座るとすぐにバスが発車した。



これなら市役所には間に合うはず。

・・・ふぁ〜あ。なんか眠くなってきたな。

いや、でもここで寝たら間違いなく寝過ごすわ。だめだめ。





私は眠気と戦いながら、窓の外の後ろに流れていく景色をボーっとながめていた。















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みなさん、もうおわかりですよね?
2人目の登場は赤髪の彼でしたv