ハァッ・・・ハァッ・・・ハァッ・・・
あーーーーー、きっつ・・・
なんで俺こんな走ってんだろ・・・
試合中でもこんな走んねーって・・・
俺は走る担当じゃねーんだよ・・・
そーゆーのはジャッカルがやっときゃいーんだよ!(俺かよ!byジャッカル)
004.5 走るー走るーおれーたーち。ま、俺ひとりなんだけど。by丸井
今日は夕方に、保育園に弟の凛太(リンタ)を迎えに行くことになっていた。
普段はかーさんが仕事帰りに車で迎えにいくんだけど、今日は残業があるとかでいけないらしい。
だから、俺に頼んできた。
まー、ちょうど今日は参加している高校の部活も午前中だけだったし、何回か行ったことあるからオッケーしたんだけど・・・
部活終わってから、ジャッカルとストテニ(ストリートテニス)行ってたら、赤也もきたりして、ついつい夢中になっちまった。
気ぃついたら4時すぎてるし・・・
あー、まじやべぇ。
間に合っかな?
弟の保育園は、かーさんの仕事場に近いぶん家からは遠い。
だからバスで行かなきゃなんねーんだけどさ・・・
あー、もう!バス停遠すぎだっつーの!!
この時間のバスを逃せば1時間以上待たなきゃなんねーし。
そんなことになったら、凛太がかわいそーだし、俺がかーさんに怒られる!(一番重要)
げっ・・・もしかして、いま俺を追い越してったのって、俺が乗るバス!?
だーっ!もう、まじでやべぇ!!
間に合えよーーーーーっ!!!
あー、もうバス見えねーよ・・・
でも、バス停そろそろ見えっかな?
バス停でちょっと長めに止まってくんねーかな!?
そしたら間に合いそーなんだけどよ・・・
てかそもそも、バス停んとこに誰もいなかったら、バス止まんねーよな!?
それって、完全に間に合わねーってことだろぃ!!!
誰かいてくれーーーーーっ!!!
あ、バス停見えた!
誰か・・・お、いるいる!良かった・・・
って、バスもうバス停んとこじゃん!
もう、だめだろぃ・・・
1時間待つことにすっか。
・・・あれ?バス、やけに長く停まってね?
これなら間に合うかもしんねー!
バス停んとこでは、ひとりの女の子がしゃがんで、道路に散らばっているものを拾っていた。
この子、さっき遠くで見たバス停のとこにいた子だ。
ってことは、この子が落し物拾うのをバスが待ってたわけか・・・
ハァッ・・・ハァッ・・・ハァッ・・・
ま、間に合った・・・
女の子はすべて拾い終えたのか、立ち上がった。
俺はその子の後ろで、前かがみになり、手を膝について少し息を整えようとした。
ふと視線を感じて、顔をあげた。
目の前の女の子とばっちり目が合う。
か、か、かか―――――可愛い〜///
目はパッチリして大きくて、なんかチワワみてーだし。///
きれいな白い肌と、薄めの唇のピンクとのコントラストがたまんねぇ///
顔もちっせーし、髪もきれいだし、ぜんぶ可愛すぎだろぃ///
絶対、モデルかなんかだよな・・・///
いや、でもあんな可愛い子がいたらもっと有名な『あのー、』
『乗らないんですか?』
あの子と目が合ってから、完全に自分の世界に入っちまってたみたいだ。
気づかないうちにバスに先に乗っていた彼女が、バスの中から俺に話しかけている。
バスの運転手も、ミラー越しにチラチラを自分のほうを見ていた。
「あぁ、乗るぜ///」
俺はバスを待たせている気まずさ(0.001%)とあの子に話しかけられているドキドキ(99・999%)で顔を赤くして答えた。
そのあと急いでバスに乗って、あの子を目で探した。
彼女は一番後ろの窓際に座って、ボーっと外をながめていた。
ほんと、きれーな横顔・・・
って、あんまジロジロ見てっと嫌がられるよな。
俺は後ろから2番目のあの子と反対側の窓際に座った。
でも、やっぱどーしても気になって自然とチラチラ見ちまうんだけどさ。
彼女は変わらず、ずーっと窓の外を見ている。
見るたびに思うわ。
ほんと、可愛い〜///
声をかけよーか、どーしよーかめっちゃ迷ってたら、彼女は降車ボタンを押して颯爽と降りていってしまった。
あぁ、ほんと可愛かったなぁ・・・///
また会えるかな?
次会ったら絶対絶対、仲良くなってやる!!!
俺が決意を固めていると、弟の保育園の最寄のバス停留所の名前が車内アナウンスされた。
おっと、いけね。
凛太の迎えにきたんだった。
でも、そのおかげであんな可愛い子と会えたんだしv
たまには来てみるもんだなvv
俺は降車ボタンを押して、鼻歌をうたいながらバスを降り、凛太の待つ保育園へ向かった。
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ブン太視点でした!
次はいよいよ高校編に突入します。